(格さんと悪人たちの戦闘シーン。
 刀がぶつかり合う音が響き渡る。)



光圀
「格さん、もういいでしょう。」


格さん
「静まれぇ!静まれぇ!!」


悪代官
「?(キョトンとした顔)」


格さん
「この紋所が目に入らぬか!!(印籠(いんろう)を見せる)」


悪代官
「?(キョトンとした顔)」


格さん
「こちらにおわす御方をどなたと心得る!」


悪代官
「?(キョトンとした顔)」


格さん
「おそれ多くもさきの副将軍・・・」


悪代官
「?(キョトンとした顔)」


格さん
「水戸・・・」


悪代官
「?(キョトンとした顔)」


格さん
「(光圀に小声で)ご老公、みんなキョトンとしてますが、大丈夫でしょうか・・・?」


光圀
「大丈夫。続けなさい。」


格さん
「いつもなら、印籠を見せた時点で『ハッ』って顔をするんですが、
 現時点でまだ『誰?誰?』って顔をしてますが・・・」


光圀
「大丈夫だから。」


格さん
「そうですか・・・。
 (悪人たちに)水戸光圀公にあらせられるぞ!!」


悪代官
「?(キョトンとした顔)」


格さん
「一同!!」


悪代官
「?(キョトンとした顔)」


格さん
「ご老公の御前である!!」


悪代官
「?(キョトンとした顔)」


格さん
「頭が高い・・・!!」


悪代官
「?(キョトンとした顔)」


格さん
「(小声で)ご老公・・・!
 みんなすごく純粋な目でこっち見てます・・・。
 目が『誰?誰?』って言ってます。」


光圀
「大丈夫。心配ないって。」


格さん
「ワタシ、この後、『控えおろう』って言っても、
 誰もひれ伏してくれない気がするのですが・・・」


光圀
「印籠がよく見えないんじゃないか?
 よく見せてあげなさい。」


格さん
「ちょっとみんな集まって。
 ワタシ中心で輪になって。」


悪人たち
(集まってくる。)


格さん
「見て、これ。印籠。わかる?」


悪代官
「インロウ?」


格さん
「そう。印籠。
 で、これが葵の御紋。」


悪代官
「あ・・・あお・・・?」


格さん
「葵の御紋。」


悪代官
「あお・・・ごも・・・?」


格さん
「葵の御紋。」


悪代官
「サトウのごはん。」


格さん
「葵の御紋!!
 印籠にごはんの絵が描いてあっても誰もひれ伏さないでしょ?!」


悪代官
「葵の御紋。」


格さん
「そう。
 よく見て、この紋。
 見たことあるでしょ?」


悪代官
「ない。」


格さん
「あるの!!
 ホント、どこ中だよ、あんたら。
 (光圀に向かって)ご老公、ダメかもしれません。」


光圀
「せめてワシが運転免許でも持っていれば・・・(遠い目)」


格さん
「何言ってるんですか。
 確かに身分証明書があれば一発ですけど。
 ・・・そういえば、今日、助さんは?
 さっきからいないけど・・・」


光圀
「助さんなら、由美かおると露天風呂に入ってる。」


格さん
「何してんだよ!これからお裁きってときに!!
 どうりで今日、忙しいと思った!!
 あと由美かおるって!!」


悪代官
「格さん!」


格さん
「何?」


悪代官
「印籠見せて!!」


格さん
「ダメ!おもちゃじゃないんだから!!」


悪代官
「印籠!印籠!!」


格さん
「ダメだって。」


悪代官
「見せて見せて見せて!!」


格さん
「ダメったらダメ!!」


光圀
「格さん!!」


格さん
「はい?」


光圀
「懲らしめてやりなさい!!」


格さん
「やぁ!!」



(格さんと悪人たちの戦闘シーン。
 刀がぶつかり合う音が響き渡る。)



光圀
「格さん、もういいでしょう!!」


格さん
「静まれぇ!静まれぇ!!」


悪代官
「?」


格さん
「この紋所が目に入らぬか!!(印籠を見せる)」


悪代官
「印籠出たーーーーっっ!!(拍手!)」


格さん
「長年、印籠を見せて回ってるけど、
 このリアクションは初めてだ・・・。」


助さん
(浴衣姿で奥からやってくる)


光圀
「お、助さん。」


助さん
(光圀に耳打ち。)


光圀
「・・・えっ?」


助さん
(光圀に耳打ち。)


光圀
「あぁ・・・いいよ。」


助さん
(奥に引っ込む)


格さん
「助さん、何ですって?」


光圀
「なんか、由美かおると温泉卓球してくるって。」


格さん
「何だよ、温泉卓球って!!
 お裁きするんだぞ、これから!!
 ご老公も『あぁ・・・いいよ』じゃないですよ!!
 あと、由美かおるって!!」


悪代官
「格さん!格さん!!」


格さん
「何?」


悪代官
「このおじいちゃん、誰!?」


格さん
「何度も言ってるでしょ?
 水戸光圀!!
 葵の御紋でおなじみの!!」


悪代官
「知らなーい!!」


格さん
「何で知らないんだよ!!」


光圀
「ワシにドラゴンのタトゥーでもあれば・・・(遠い目)」


格さん
「何言ってるんですか!!
 確かにそんな目立つシンボルがあれば一目瞭然ですけど!!
 っていうか、よりによってドラゴンのタトゥーって!!」


悪代官
「格さん!!」


格さん
「今度は何?!」


悪代官
「おんぶ。」


格さん
「はぁ?!」


悪代官
「おんぶして!!」


格さん
「イヤだよ!
 これからお裁きってときに、何で裁く相手をおんぶしなきゃいけないんだよ!!」


悪代官
「おんぶ!おんぶー!!」


格さん
「イヤだったら!!」


光圀
「格さん!!」


格さん
「はい?」


光圀
「懲らしめてやりなさい!!」


格さん
「やぁー!!」



(格さんと悪人たちの戦闘シーン。
 刀がぶつかり合う音が響き渡る中、
 悪代官の「おんぶー!」の声が聞こえる。)



光圀
「格さん、もういいでしょう!!」


格さん
「静まれぇ!静まれぇ!!」


悪代官
「来るぞ!来るぞ!!」


格さん
「この紋所が目に入らぬか!!(印籠を見せる)」


悪代官
「出たーーーーーっっ!!」


悪人たち
(拍手をするもの
 泣き出すもの
 クラッカーを鳴らすもの
 ハッピーバースデーを歌うものなど様々)


格さん
「うるさいうるさい!!
 はしゃぐんじゃないっ!!」


悪人たち
(静まる)


格さん
「あと、どさくさにまぎれて誕生日を祝うんじゃない!!」


助さん
(奥から出てくる)


光圀
「お、助さん。」


助さん
(光圀に耳打ち)


光圀
「・・・何?」


助さん
(光圀に耳打ち)


光圀
「これからじゃないとダメなの?」


助さん
(うなずく)


光圀
「いいよ、行っといで。」


助さん
(奥に引っ込む)


格さん
「助さん、何ですって?」


光圀
「由美かおると一緒に近くのつり橋見に行ってくるって。」


格さん
「だから、何でだよ!!
 ひとっ風呂浴びて、卓球して、つり橋見て、ってただの観光じゃん!!

 何で今じゃなきゃダメなんだよ!!
 あと由美かおるって!!」


悪代官
「格さん!格さん!!」


格さん
「何?こっちは忙しいんだって!」


悪代官
「黄門さまと格さんの似顔絵描いたの。見てー。」


格さん
「うん。見てる見てる。
 この右の人は誰?」


悪代官
「黄門さまー。」


格さん
「左のぐちゃぐちゃってしたヤツは?」


悪代官
「格さんー。」


格さん
「真ん中のロボットみたいなヤツは?」


悪代官
「いんろー!!」


格さん
「あー、もうシュール極まりないな・・・」


悪代官
「(格さんのふところから)いんろう取った!!」


格さん
「あっ!!ちょっと返しなさい!!」


光圀
「格さん!」


格さん
「はい?」


光圀
「いいから。放っておきなさい。」


格さん
「でも・・・」


光圀
「いいから。」


格さん
「そうですか・・・。」


光圀
「(縁側に座る)格さん。この町には悪人なんていない気がしてきました。」


格さん
「(隣に座る)ワタシもそう思います。」


悪代官
「(悪人たちに印籠を見せて)このサトウのごはんが目に入らぬかー!」


悪人たち
「ははーっ!!(ひれ伏す)」











【コント・セルフ・ライナーノーツ】
多分、過去最長になってしまったコント。
印籠を見せてもノーリアクションというところから広げました。


もともと悪人たちは子供キャラではなかったのですが、
印籠をおねだりするところから子供キャラになり、
いつのまにか子供キャラでひっぱるコントになりました。






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