トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・ガチャ



オペレーター
「はい。魔法の鏡 カスタマーセンターです。」


魔女
「もしもし。先ほど、お宅の会社の魔法の鏡を購入したんですけれども・・・」


オペレーター
「それはそれは。ありがとうございます。」


魔女
「早速、『この世で一番美しいのは誰?』と聞いたところ、
 私の顔写真が出て、『それは東の森の魔女です。』と出たのですが・・・」


オペレーター
「そうですか。よかったですね。」


魔女
「ただ、ところどころ、外国人の抗議活動の映像が挿入されるんですが・・・」


オペレーター
「少々お待ちください。確認致します。」


魔女
「お願いします。」


オペレーター
「確認とれました。」


魔女
「どうでした?」


オペレーター
「バグですね。」


魔女
「やっぱり、バグですよね。」


オペレーター
「不本意な結果のときに外国人の抗議活動の映像が挿入されてしまうみたいです。」


魔女
「ん?不本意な結果?」


オペレーター
「バグが解消したら、修正版を送らせていただきます。」


魔女
「不本意な結果って?」


オペレーター
「お手数ですが、お名前と住所を伺ってもよろしいですか?」


魔女
「東の森の魔女です。
 不本意な結果ってなんですか?」


オペレーター
「東の森の魔女様ですね。
 それでは、1週間以内に修正版を送らせていただきます。」


魔女
「いや、あの、不本意な結果ってなんですか?」



ガチャ。ツーツーツー・・・




数日後



トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・ガチャ



オペレーター
「はい。魔法の鏡 カスタマーセンターです。」


魔女
「もしもし。先日、お宅の魔法の鏡で電話したものですが・・・」


オペレーター
「あ、はい。お世話になっております。
 今日はどのような用件でしょうか。」


魔女
「『この世で一番美しいのは誰?』と聞いたところ、
 私の顔写真が出て『それは東の森の魔女です。』と出ました。
 今回は外国人の抗議活動の映像も挿入されませんでした。」


オペレーター
「はい。バグは改修致しました。
 なお、担当者には毒入りのリンゴを食べさせました。」


魔女
「あまり、手荒なことはしないでくださいね。」


オペレーター
「大丈夫です。
 人事部長がキスをしたら、蘇りました。」


魔女
「想像したくない・・・。」


オペレーター
「それで用件の方は・・・?」


魔女
「抗議活動の映像は出なくなったのですが、
 『それは東の森の魔女です。』っていう言葉が鏡から止まらなくなったんですが・・・」



「それは東の森の魔女です!!」


魔女
「聞こえます?さっきからずっとこの調子なんですよ。
 しかも、どんどん声が大きくなっているみたいなんですね。」



「それは東の森の魔女です!!」


オペレーター
「申し訳ありません。只今、確認致します。」


魔女
「森の猟師たちが『近所迷惑だ』って猟銃片手に音の出所を探して走り回ってるんです。
 『誰だ?!この近所迷惑な声は?!』という猟師の叫びに対して、
 『それは東の森の魔女です。』って鏡が答える形になったんで、私、撃たれそうになりました。」


オペレーター
「確認が取れました。バグですね。」


魔女
「バグですか。」


オペレーター
「1週間以内に修正版を送らせていただきます。」


銃声

「ズドーーーーーン!!」


魔女
「・・・あのできるだけ早くお願いします!!」


オペレーター
「かしこまりました。」

ガチャ。ツーツーツー・・・




数日後



トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・ガチャ



オペレーター
「はい。魔法の鏡 カスタマーセンターです。」


魔女
「もしもし。先日と先々日、お宅の魔法の鏡のバグの件で電話したものですが・・・」


オペレーター
「あ、はい。その件は申し訳ありませんでした。
 担当者には毒入りのリンゴを食べさせました。」


魔女
「いや、だからなんで毒リンゴを食べさせるんですか。」


オペレーター
「大丈夫です。
 人事部長がキスをしたら蘇りました。」


魔女
「その人事部長、何者なんですか?

 王子様の素質があるってこと・・・?」


オペレーター
「で、今回はどのような用件でしょうか・・・?」


魔女
「いただいた鏡に『この世で一番美しいものは誰?』と聞いたところ、
 画像と共に『それはフランケンシュタインです。』という回答がきたのですが・・・」


オペレーター
「バグです。」


魔女
「バグですよね。
 私、フランケン以下なのかな?って鏡を割りそうになりました。
 とりあえず、『今日の晩御飯は何がいい?』って聞いたら、
 画像と共に『それはフランケンシュタインです。』って返ってきて・・・」


オペレーター
「はい。」


魔女
「結局、何を聞いても画像と共に『それはフランケンシュタインです。』って返ってくるみたいで・・・」


オペレーター
「はい。すぐに対応致します。
 あと担当者には毒入りのリンゴを食べさせます。」


魔女
「そしたら、また、人事部長の出番だ・・・。」


オペレーター
「1週間以内に修正版を送らせていただきます。」


魔女
「お願いしますよ。
 なんなら、外国人の抗議活動の映像が挿入される方がマシでしたよ。」



ガチャ。ツーツーツー・・・




数日後



トゥルルルル・・・トゥルルルル・・・ガチャ



オペレーター
「はい。魔法の鏡 カスタマーセンターです。」


魔女
「もしもし。先日から3回にわたって、お宅の魔法の鏡で電話したものですが・・・」


オペレーター
「お世話になっております。
 本日はどのようなご用件で・・・?」


魔女
「いただいた鏡に『この世で一番美しいのは誰?』と聞いたところ、
 『それは白雪姫です。』という回答が来たんで、鏡を割りました。
 そしたら、破片が心臓に刺さって、死にそうなんですけど・・・」


オペレーター
「それは知りません。
 ・・・あ!ちょっと待ってください!!」


魔女
「どうしました?」


オペレーター
「人事部長が『俺のキスで蘇るかもしれない』って腕をぐるぐる回しながら言ってます!!」


魔女
「いや、人事部長はキスしたいだけでしょ?!」


オペレーター
「たしかに、飲み会の場で女子社員に『蘇生のキスだー!!』と言って
 キスしようとして、訴訟騒ぎになりましたが、
 本人は至ってマジメです!」


魔女
「やめてください!救急車呼んだんで・・・」


オペレーター
「そろそろ到着すると思います。」


ドアをノックする音
「ドンドンドンドン!!」


人事部長
「キス!キス!!」


魔女
「もう来た!キスが関わると持てる数倍のチカラを発揮する人なの?!」


ドアをノックする音
「ドンドンドンドン!!」


人事部長
「キス!キス!!」


魔女
「いや、ドアをヒステリックにノックされて、『キス!キス!!』叫ばれるって、
 もはやホラーだよ!!」


サイレンの音
「ピーポーピーポー!!」


魔女
「あ、救急車来た!」


救急隊員
「(入ってくる)大丈夫ですか?担架、自力で乗れますか?」


魔女
「はい・・・(担架に乗り、救急車に入る)」


救急隊員
「(人事部長に向かって)ご家族の方ですか?」


人事部長
「キス!」


救急隊員
「じゃあ、一緒に乗ってください。」


人事部長
「キス!(救急車に乗り込む)」


魔女
「いや、その人、私の家族じゃない・・・」



バタン!!(救急車のドアが閉まる)



サイレンの音
「ピーポーピーポー!!」



こうして、魔女は手術を受け、一命を取り留めましたが、
人事部長の件がトラウマで一気に老けこんでしまいました。


物語には登場しませんでしたが、白雪姫は白雪姫で幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。







【コント・セルフ・ライナーノーツ】

前回のコントの感想で「白雪姫」をテーマにお願いします。というのがあったので、

いろいろ考えて作ってみました。


それでは、今年もよろしくお願いします。





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