(岩場)



藤崎
「こんにちは!藤崎ロックサービスです。」


手下1
「あぁ、カギ屋さん待ってましたよ。こちらです。」


藤崎
「失礼します。
 いやぁ、こんな岩場に呼び出されるなんて思いませんでした。」


手下1
「すみません。事情が事情だったんで・・・。
 (奥の人に)親方ぁ!カギ屋さん来ましたぁ!」


親方
「おお、来たか!こっちです!!(大きな岩の前に案内する)」


藤崎
「(大きな岩を見て)これですか。」


親方

「以前は合言葉で開いたんですが、手下からセキュリティがどうのとか言われて
 合言葉を変えたら忘れちゃって・・・。」


藤崎
「ちょっと前の合言葉を言ってもらえますか?」


親方
「(大岩に向かって)ひらけ、ゴマ!!」



(大岩、開かない。)



藤崎
「開きませんね。」


親方
「今、部下が手あたり次第に合言葉を言ってるんですが・・・
 (岩の前にいる手下を見る)」


手下2(岩の前にいる)
「・・・ひらけ、大根!
 ・・・ひらけ、餃子!
 ・・・ひらけ、鶏のから揚げ弁当!!」


親方
「まだ開きそうにないですね・・・。」


藤崎
「本当に手あたり次第なんですね・・・。」


親方
「何とか開けていただけませんかね?」


藤崎
「わかりました。(カバンを置き、中を探る。)」


親方
「よろしくお願いします。」


藤崎
「カギ穴とかないですか?」


親方
「一応、ここにスキマが・・・。」


藤崎
「ここかぁ。(スキマに棒を指してガチャガチャ動かす)」


親方
「どうですかね・・・?」


藤崎
「(棒を取り出して先端を見る。)んー・・・。」


親方
「開きそうですか?」


藤崎
「(棒の先端を払いながら)これはアリの巣ですね。」


親方
「すみません。カギのこと、よくわからないんで、カギ穴とアリの巣の区別がつきません・・・。

 (手下に向かって)そっちはどんな感じだ?」


手下2

「・・・ひらけ、極太ちぢれ麺!
 ・・・ひらけ、グラビアアイドル!
 ・・・ひらけ、鶏のから揚げ弁当!!」


手下1

「まだかかります!」


親方
「未だ開く気配なしか・・・。」


藤崎
「(大岩を見ながら)そもそも、これはどういうシステムで動いているんですか?」


親方
「どういうシステムと言われても・・・。全然気にしてなかったですね・・・。」


藤崎
「(岩場の周りを回りながら)中で人が開け閉めしてるとか・・・、絶対動力があると思うんですよね。」


親方
「(岩場の横に周り)あ!!」


藤崎
「どうしました?」


親方
「コンセント!!」


藤崎
「(コンセントを見て)なるほど。一般家庭で使ってる100V電源ですね。抜いてみてもいいですか?」


親方
「どうぞ。」


藤崎
(コンセントを抜く。)



(周りに響いていた低い「ブゥーーーーン」という音が消える。)



親方
「静かになった。」


藤崎
(コンセントを指す。)



(再び「ブゥーーーーーン」という音が響き渡る。)



藤崎

「これで合言葉は初期化されてませんかね?」


親方
「やってみます。
 (大岩に向かって)ひらけ、ゴマ!!」



(大岩、開かない。)



親方
「ダメですね。」


藤崎
「そんな簡単に開いたら、コンセント抜き差しで泥棒できちゃうもんな・・・。」


親方
「(手下に向かって)おい、そっちはどうだ?」


手下2
「(辞書を見ながら)
 ・・・ひらけ、鬼がわら!
 ・・・ひらけ、おにぎり!
 ・・・ひらけ、鬼ごっこ!!」


手下1
「まだかかります!」


藤崎
「辞書持ち出しちゃったし!
 ・・・それでも「お」まで行ったんだ・・・。」


親方
「(大岩の隅っこを見て)あれ?」


藤崎
「どうしました?」


親方
「ここに電話番号が・・・。これを作った会社の連絡先ですかね?」


藤崎
「もしかしたら、合言葉を忘れたときの開錠方法を教えてくれるかも・・・。(電話する)」


親方
「『イナバセキュリティサービス』。・・・これを作った会社の名前ですね。」


藤崎
「もしもし。あれ?・・・もしもし?・・・もしもーし?!」


親方
「どうしました?」


藤崎
「出ないですね。ずっと『ツー・・・』って言ってます。」


親方
「随分、古いヤツだから、会社も潰れちゃってるかな・・・?」


藤崎
「となると、私の方で何とかするしかありませんね。」


親方
「(手下に向かって)おい、そっちはどんな感じだ?」


手下2

「・・・ひらけ、瀬川瑛子!
 ・・・ひらけ、坂東英二!
 ・・・ひらけ、鶏のから揚げ弁当!!」


親方
「まだ開きそうにないですね・・・。」


藤崎
「今度はタレントで攻めてるわけですね。
 あと、「鶏のから揚げ弁当」は私来てからもう3回目ですよ。」


親方
「もうあきらめるしかないのかなぁ・・・。」


藤崎
「最悪の場合、焼き切るという手があります。」


親方
「できますか?」


藤崎

「道具は用意してるんで。(準備を始める)」


親方

「じゃあ、よろしくお願いします。」


藤崎
「ところで、中の物は大丈夫ですか?」


親方
「全部貴重品ですけど、元々人の物なんで・・・。」


藤崎
「なるほど。
 それじゃ、焼き切りますね。」


親方
「お願いします。」


藤崎
(構える)


大岩
「(動き始める)ゴゴゴゴゴゴ・・・」


藤崎
「!!」


手下2
「あ!親方!!開きました!!」


親方
「開いたか!!いろいろ言ってみるもんだな!!」


藤崎
「手あたり次第でよく開きましたね!」


親方
「ちなみに合言葉は何だった?」


手下2

「えーと、『ひらけ、愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない』」


藤崎
「B'zだ・・・」


親方
「そうだそうだ!印象に残るから、絶対忘れないだろうってことで、これにしたんだ!」


藤崎
「結果、すっかり忘れてましたけどね。

 ・・・もしかして、さっきの『イナバセキュリティサービス』ってところから思いついたとか?」


親方
「それもある。」


藤崎
「やっぱり。」


親方
「いやぁ、無事開きました。

 本当にありがとうございました。」


藤崎
「すみません、何かお役に立てませんで・・・」


親方
「いえいえ。
 これ、代金です。(渡す)」


藤崎
「いや、ホント、いただけません。
 私の力で開けたわけじゃないんで。」


親方
「そうですか?
 とりあえず、これはここまでの移動代ってことで・・・」


藤崎
「あー・・・、それじゃすみません、いただきます。
 また、何かあったらよろしくお願いします。」


親方
「はい。わざわざすみませんでした。」


藤崎
「失礼します!(岩場を後にする)」


親方
「さてと・・・、洞穴の中には何があったっけ?(中に入る)」


手下1

「なんかいろいろありますね。」


親方

「これは・・・?手提げ金庫か・・・。」


手下1
「こっちにも手提げ金庫・・・。」


手下2
「ここにも手提げ金庫・・・。」


手下1
「手提げ金庫だらけですね。」


手下2
「中身は何ですか?」


親方
「(開けてみる)ふんんんっっ!!
 ・・・開かない。・・・おい、カギはどこだ?」


手下1
「知りません。」


手下2
「親方、持ってるんじゃないですか・・・?」


親方
「・・・。」


手下1
「親方?」


親方
「・・・おい。」


手下2
「はい?」


親方
「さっきのカギ屋さん呼びもどして!早く!!」


手下1手下2
「はいっ!!」








【コント・セルフ・ライナーノーツ】
パスワード変更のメールを受けたときに、いろいろ考えてこの設定にたどりつきました。

これも、設定は思いついたものの、なかなか先に進まず、難産なコントでした。




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