ジジィも楽じゃない。
忘れられない光景がある。
以前、働いてた会社の近くに静かな公園があって
いつも、近所のお年寄りがゲートボールをやっていた。
暖かい日差しの中、楽しげな姿を眺めるのが日課だったが
何だかその日は雰囲気が違った。
「何やっとんのや!」「このド下手!」「違うやろっ!アホっ!」
罵声。叱責。シゴキ、っつーかイジメみたいな。
和気あいあい、な雰囲気は微塵もなく体育会系ガチモード。
どうやら「新人」のジィちゃんがミスショットばかりして
「先輩」に怒られてるようだった。
バァちゃん達の目があるからね。
辛そうだったよ、その新人ジィちゃん。
で、次の夜。
仕事で遅くなって公園横の道を足早に通っていると
1つだけある街灯の下、暗いグラウンドで人影がある。
あの、怒られてたジィちゃんだった。
寂しい夜の公園で、一人黙々と練習してる。
汗を拭き拭き、何度も何度もボールを打つ。
完全に「ROOKIES」の世界だ。
長いシルエットを地面に写したジィちゃんは
何だか気高く見えた。
(ガンバレ!負けんな!)
心の中で小さくエール。
ジィちゃんカッコいいぞ!
------------------------------------------------------
その後、異動になって通るコトもなくなったその公園を
近くに所用があって数か月ぶりに訪れてみると・・
居た!居た!あの特訓ジィちゃん。
まるでエースみたく堂々とニコニコ笑ってプレイしてる。
練習の成果が出て、みんなに受け入れられたんだね。
スゲェ自信に満ちたイイ顔してる。
何だか嬉しくなっちゃったよ。
嬉しくなった、けど・・
何つーか。
やっぱジジィになっても楽じゃない。
ヤレヤレ・・☆