16年。 | 私的リーガル項

私的リーガル項

古いアメ車と暮らす日々。犬のコト、その他諸々を。


あの日のコトは良く憶えている。


夜明け前、近所中の犬が突然吠えだした。

狂ったような鳴き声に何かを感じて目を覚ました、次の瞬間。


ドーン!と寝ている背中を突き上げるような激しい揺れ。

マンション全体がゆさゆさ揺れて洗濯機が音を立てて倒れた。


「スゲェ・・」

揺れが収まった後、思わず呟きがこぼれる。


こんな地震は初めてだな。

縦に揺れたもんな。


寝ぼけた頭でまた、布団にもぐろうとした時、電話が鳴った。


「もしもしっ!大丈夫!?大丈夫だった!?」

西宮に住んでる昔の彼女からだった。


(何を切羽詰まった声で聞いてんの。大げさだなぁ)

「ん?あぁもちろん大丈夫だよ。結構揺れたけどね」


「うちは家が・・家が潰れちゃった・・」

(えっ・・)


「目の前の阪神高速も倒れてる・・」

(・・・・)

$私的リーガル項

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何だかまるで現実感がないまま、とにかく家を出た。


電車が全てストップしてるので車で会社に向かう。


幹線道路の真ん中で軽トラがひっくり返ってる。


ジリジリするような渋滞。まったく動かない。

誰もが押し黙ったまま、硬い表情。


ようやくたどり着いた会社では、

同僚達がテレビにかじりついていた。



その画面の中。

$私的リーガル項


大好きな神戸の街が燃えていた。

大切な人や場所や思い出と一緒に燃えていた。

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明日。

あの日から16年。


明日。

せめて目覚める時には


また新しい朝を迎えられる奇跡と

失ったもの達を静かに想いたい☆