ベストバウトに関しては毎年述べているように、選考委員の趣味嗜好によって大きく変わってくるので、どの試合が選ばれたとしても別に異論はない。
このムタvs中邑にしても、その話題性、注目度、業界全体に与えたインパクトという意味でも、どれも一級品で申し分ない。純粋な試合内容に関しては私的には不満も残るが、東スポのベストバウトに選ばれたという結果に関しても、まぁそうだろうな、と素直に受け入れられた。
でも私が選ぶ今年のベストバウトとなると、やはりこの試合を選ぶことはない。私が選んだのは7月15日、ノアの東京・後楽園ホールで行われた中嶋勝彦vs宮原健斗の一戦だ!
とにかくこのカードが発表されたときの求心力、爆発力は本当に凄かった。ムタvs中邑もそうだったが、一気に多くの人がそのカードに魅了され、想像力を掻き立てていく。実際、チケットも飛ぶように売れて、試合自体も申し分ない闘いを見せた。唯一、不満があるとしたら、その舞台設定だ。
全日本プロレスとプロレスリング・ノアという両メジャー団体を代表するトップ・レスラー同士の最注目の対戦が、2000人未満の会場で行われたという事実が不満で仕方がない。できれば一万人規模、最低でもその半分くらいの大中会場で実現してほしかった。
丸藤vsオスプレイもそうだが、業界を代表する夢のある闘いを実現するなら、それにふさわしい大舞台を用意しなければそのカードに失礼。別に後楽園ホールを否定する訳ではないが、やはり会場規模というのは、ファンの心に遺る名勝負を形成するという意味でも、重要なファクターである。
最近は興行としての成功よりも、ネット中継での視聴者数などの方が重要視される傾向にあり、ならばリスクの高い大会場よりも、小会場でチケットを完売させる方がさらにイメージを高めて宣伝効果が高まるので、会社としてのメリットは大きい、と考えたとしても無理はない。
でもこういったベストバウトなどを選ぶ基準として考えるならば、やはり大会場での開催の方がスケールが大きく感じるし、どうしたって有利になる。もしこの中嶋vs宮原の闘いが日本武道館で実現していたら、また違った評価になっていたかも知れない。そう思うと個人的に残念でならない。
大晦日の代々木体育館第二競技場大会。両者のシングル対決が今度は三冠戦で実現するが、年内二度目だし、団体対抗戦ではなくなってしまったので、前回より話題性、求心力が欠けてしまっているのは仕方のないところ。でもだからこそ、純粋な試合内容で見る者を魅了させてほしい。業界の未来を感じる闘いを、ここで見せつけてほしいものだ。と個人的には願っている。
三沢はなぜ全日本で革命を起こしたのか!?
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この本にその答えが載っている。