全日本2023.7.1後楽園大会TV観戦記『これでいいの!?』 | 俺ってデビルマン!?

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知ってる人は知ってるし、知らない人はまったく知らない…私、元・週刊ゴングの鈴木淳雄と申します。かつて所属していたプロレス業界に限らずに、今現在の私をありのままに記していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 当然、話題の中心は至宝奪回となった永田裕志vs青柳優馬の三冠戦!とするつもりだったのだが、その前にこの試合に触れない訳にはいかない。そう、第3試合で行なわれた大森北斗、谷嵜なおきvs本田竜輝、花畑正男の一戦である。


 試合は僅か4分26秒、北斗のローリング・エルボーで本田が敗れている。だが問題なのはその結果ではなく、その際のレフェリング。エプロン上で北斗のランニング・エルボーを受けた本田は、そのまま場外に落ち、まったく動けなくなってしまった。


 その後、パートナーの花畑、レフェリーが駆け寄ってきて状態を確認していたが、相変わらず本田は動けず。最終的に谷嵜が強引にリングに上げ、無理やり立たせて北斗の肘弾を呼び込んでの決着となったのだが、問題はそこまで試合を引っ張る必要があったのか?ということ。


 誰がどう見たって、あのときの本田は完全に戦闘不能。ならば場外で動けなくなっている段階で、即座にレフェリーストップなりTKO決着にすべきだったのではないだろうか!? 


 その後、担架で運ばれた本田はそのまま救急車で病院に直行し、幸い、大事には至らなかったようだが、無理に試合を続行して最悪の結果を招いていたとしたら…と思うと本当にゾッとする。


 何のために無理に続行したのかは分からないが、あの場面で試合を止めていた方がすべてのリアリティに納得がいく。自力で起き上がれない人間に無理やり続行させる方が、よっぽど意味のない攻防といえるのではないだろうか?


 最近のプロレスは、レフェリーのレベルの低下が著しく目立つ。両肩が着いてないのにフォール・カウントを数えるような論外のケースもあれば、デスマッチが当たり前に行なわれるようになったこともあり、通常の試合ルールとデスマッチルールがごちゃ混ぜとなり、通常の試合でも平気で反則行為が行なわれていても見逃していたり、場外乱闘でカウントをまったく数えないレフェリーも多い。


 即、反則負けなりリングアウト決着にしろなどとはいわないが、せめてキチンと反則カウントをとるなり、警告するのはレフェリーの当然の仕事。また選手の状態を即座に察知し、試合の続行、停止を決めるのもレフェリーの重要な責務。単なる御飾りでリング上にいる訳ではない。


 選手の大怪我などが現実に起こってしまい、技の危険度などが問題視されることが多いが、それと平行してレフェリーの質を高めるという努力は、業界全体が必ずやっていかなければいけない重要な課題だといえる。


 レフェリーというのは、オーケストラの指揮者的な役割であると同時に、絶対的な権力を持つ裁判官でもある。どんなに屈強なレスラーであろうと、レフェリーの裁定には必ず従わなければならない、それがどんな競技であろうと、ルールある闘いをする上での絶対条件であり、最低条件であるからだ。


 ならばレフェリーもその自分の立場の重要性、必要性を自覚し、常日頃から知識認識を高める努力をしていってほしい。名勝負が生まれるところには、必ず名レフェリーが存在する、それがプロレス界の定説ともいえるからだ。


 ちなみに肝心の三冠戦だが、挑戦者・青柳が王者・永田の猛攻を受けきって、最後は逆転勝利するという本来の立場を入れ換えたような試合だった。


 決して悪い試合ではなかったが、何か青柳ならではの色というのが特に感じられず、会場にいるお客さんも“絶対に青柳に獲り返してほしい!”という感情よりも、“いい試合が見られればそれでいい”という大人の姿勢が少なからず伺えた気がする。


 これはあくまで私の個人的な見解だが、それが今の全日本プロレスの、最大の弱点なのではないか!?とさえ思った。


 結局、現在の全日本プロレスは色んな選手をリングに上げて、色んなタイプの試合を見せることで、独自のカラーというものが薄まってしまっている。それによって観客動員が上がり、収益に繋がっているのだとしたら、それは仕方のない現象だし、決して間違っているとは言わないが、それによってこの団体の熱心なファンが減り、あくまで面白ければ何でもいいという、ライトなファンが多数を占めているのではないだろうか?


 マニアなファンでもライトなファンでも1人は1人だし、数字的には何も変わらない。でもライトなファンは付くのも早いが離れるのも早い。一方、マニアなファンは根強く支持してくれることが多く、末永く見守ってくれることが多い。


 だからといってマニアのファンを特別視しろといっているのではない、大事なことは、日替り定食のように何でもアリをウリにして商売するのではなく、やはり『これが全日本だ!』という大きな柱、一番のメイン商品を強く打ち出してほしい!ということだ。


 この日の勝利によって、青柳優馬が五冠王者となり、文字通り全日本プロレスの頂点に立つ男となった。では、「青柳優馬のプロレスってどんなプロレスですか?」と聞かれたら、現在、全日本の会場に行っているファンの人たちは、果たして「こんなプロレスです!」と即答できるだろうか?


 それができるようになってこそ、真の全日本プロレスの新時代が始まるときだと思われる。もし「青柳?興味ないから分からない」なんて答えが観客から返ってくるようでは、団体としての再浮上などは、それこそ絵に描いた餅と終わることだろう。



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