まさかの緊急開催!冬木弘道引退試合秘話⑨ | 俺ってデビルマン!?

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知ってる人は知ってるし、知らない人はまったく知らない…私、元・週刊ゴングの鈴木淳雄と申します。かつて所属していたプロレス業界に限らずに、今現在の私をありのままに記していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 試合前に、三沢は日本テレビのインタビューにこう答えていた。


「(がんの)場所が場所だけに、レスラーとしては無理なんだろうなぁっていう。ま、ホント年齢も2つしか変わらないし、これから5月5日、(WEWの)旗揚げで頑張ろうとしていたのを聞いていたんで。ショックはショックですけどね。やっぱり、そうなったからにはそれを踏まえてね、今後どうしようかということを考えないといけないんで、ま、力になれることは力になります、って感じで、俺のなかで決めました」


 三沢は団体の垣根を越えて、盟友・冬木弘道の人生のパートナーとなる決意をしていたようだ。だからこそ、試合云々だけではなく、もっと奥深い部分で冬木の隣に並んだ。


「(久しぶりのタッグ結成に)複雑ですよね、一言ではいえない。ま、今日で終わりじゃなく、今後の人生の後押しと思って試合しますんでね」


 そんな三沢の後押しを受けて、冬木は最後のリングとなる場所に実際に4名のセコンドと共に姿を現すと、FMWマットで一世を風靡したオフスプリングの『カムアウトアンドパーティー』の曲にのってステージで、リング上で、観客も交えてブリブラダンスを踊ってみせた。


 この日のリングアナはNOAHの人間ではなく、WAR、冬木軍プロモーションと行動を共にした中村吉佐アナ。その声に乗って膨大な数の黄色い紙テープがリングに向かって投げられ、緑のリングが一瞬にして黄色く染まる。


 この日ばかりは冬木が完全に主役。相手となった田上、井上、菊地がゴング前に奇襲をかけると、ヒールばりに冬木に集中攻撃を仕掛ける。もちろん、冬木も正義のヒーローばりに分厚い身体でタックルをぶちかまし、バッタバッタとなぎ倒すと、リング中央で大歓声を浴びた。


 だが冬木も悦に浸ることなく、ここから奇声をあげながら応戦すると、急所攻撃まで放つ理不尽大王ぶりも発揮。正統派と邪道流という、硬軟織り交ぜたファイトはまさに冬木ならではのもの。コーナーからのダイビング・ボディアタックまで放ち、最後は地団駄ラリアットで菊地をフォール。最後の3カウントを奪い取った。


 会場には冬木のプロレスラーとしての最後の勇姿を見守るべく、当時IWGPヘビー級王者であった永田裕志、かつて冬木と師弟関係にあった邪道&外道、大先輩のグレート小鹿、全日本やSWS、WARで一緒だった折原昌夫、グレートカブキ、女子プロ界からは風間ルミ、神取忍、また会場には姿を見せなかったが、隣のノア事務所には天龍源一郎までやってきていた。


 試合を終えて、マイクを手にした冬木は観客に向かってこう語った。


「プロレス生活22年間、最後の10年は本当に自分勝手で、我が儘で、ムチャクチャな10年間を過ごしてきました。まさかこんな素晴らしい最後が…自分で最後の試合ができると思っていませんでした。今日の、三沢社長を初め、レスラーの方々、スタッフの方々、応援してくださった皆さんの、恩は返すことはできませんが、一生忘れません。これからも宜しくお願いします!」


 最後はSWS以降の入場テーマ曲として使われてきたDEVID LEE ROTHの『Shoot It』にのって愛する家族と共に退場。ステージ上で振り返り、両腕を高々と突き上げて、最後のリング・コールを受けている。


「249パウンド、マッチョバディ、ふゆきぃ~こ~うどぉ~う~!」



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