確かにこれまでの全日本の価値観でいけば、このカードは後楽園で目玉となるカードである。ただそれをいえば、川田vs垣原も、三沢vsモスマンも基本は同じ。要はトップvs若手、もしくはそれに続く選手のチャレンジマッチ的意味合いを持つカードだということである。
もちろん、小川は秋山より先輩なのだから、これに関してはヘビー級vsジュニアのチャレンジ的な意味合いを持つ。武道館はトップvsトップの頂上決戦をやるべき舞台。ヘビーはヘビーと、ジュニアはジュニアのトップとやるのがふさわしい。
だからそれ以外でファンの興味が高そうなカードは武道館ではなく、後楽園でやるべきだ、というのが馬場の考えである。
武道館のメインが小橋vs田上の三冠戦ならば、セミには三沢や川田を含むドリームマッチ的なタッグ戦で華を添えるべき、という従来の考えを推してきた。
しかし、それをやってしまっては、これまでの全日本と何ら代わり映えしない。現トップと旧トップ頼みのカード編成では、何ら三沢革命の意味をなしてこない。
若い選手や軽量の選手でもやる気を見いだし、俺も頑張ろうと誰もが思える環境作りを目指している三沢にとって、従来通りのマッチメークをしていたのでは何の意味もなさない。
全日本にとって最高の舞台である日本武道館大会で、若い選手や軽量の選手にも眩いばかりのスポットライトを浴びせてやりたい、そうすれば必ずや全日本プロレスは生まれ変わる!それを実現させなければ、自分がマッチメーカーになった意味はない。
しかし、その一方で、馬場さんの命に背くことはできない。何とか理解してもらおうと再三の説得を試みるが、頑として首を縦には振ってくれない。
"さすがにこれ以上は無理かも知れないな…"
三沢にしては珍しく、かなり弱気になっていた。私がある会場で控え室に呼び出されたときも、もはや諦めそうになる寸前であった。









