https://ameblo.jp/asuz0605/entry-12604180150.html
我々オールドファン世代にとって、全日本と新日本のプロレス2大メジャー団体は永久不滅のライバル関係であり、決して相容れないものである。
もちろん、そうは言いながらも結局は純粋なプロレスファンであり、どっちの団体も観るし、どっちの団体も素直に応援はしているのだが⋯。
心の底では「でも一番は全日本」、「いや一番は新日本」という不動の序列がそれぞれのファンの心に存在しており、決してそれが揺らぐことはない。
そんな当時の両団体のファンにとって、大会場に対する思い入れも本当に強固なものであった。
新日本が全国のドーム会場、そしてG1で毎年連続で行われる両国国技館をホームグラウンドとしているのに対し、全日本は頑なに日本武道館一本、そんな頑強なイメージが完全に定着していた。
実際、観戦している我々全日本ファンにとっても、「日本武道館が一番観戦しやすい会場」という強いプライドがあり、「両国は枡席で他人と一緒になるのが嫌」とか、「ドームは大き過ぎて、実際、リング上を観ている時間より、巨大モニターを観ている時間の方が長い」と吹聴していたものだ。
でも、東京ドーム大会という一回り大きな会場での興行をやれば、普段は見ることができない豪華なカードが実現する。いつも通りのカードであっても、ドームでやればそのカードが一段格上げされる、といったイメージが当時のファンには定着しており、実際のところ、毎年東京ドームで興行をおこなっている新日本に対して、羨ましい気持ちを抱いていたのもまた事実だ。
全日本がこの数年前のように、鎖国状態を続けていたら、全日本の東京ドーム大会なんて発想が生まれてくることはなかっただろう。だが、開国と共に馬場御大のなかにも心境の変化が生まれた。
恐らく、馬場さん自身の発案ではなく、他の誰かの進言だと思われるが、それを「NO」ではなく、「YES」と答えさせたのは、紛れもなく馬場さんのなかで大きな心境の変化があったからに他ならない。
もちろん、全日本ファンにとっては、これは手離しで喜んでいい変化であったと思う。そこで最大のプライドである日本武道館大会が減ってしまうとなれば反対意見も出たかも知れないが、武道館大会は一切削らないという。
その上で東京ドーム大会を行うとなれば、いよいよもって新日本と肩を並べる、いやビッグマッチの数の多さでは新日本を上回る、「やっぱり全日本が一番!」と胸を張った全日本ファンの人も多かったことだろう。
だがそれは、あくまでファンと経営陣の見方であり、実際に闘う選手たちの本音はどうだったのだろう?単純にビッグマッチが増えるというだけでもより負担になるというのに、それがこれまでの興行よりも一層スケールの大きな会場となれば、更なる負担になることは間違いない。
既にパンク状態であったといっても過言ではない三沢と小橋にとって、本音は"歓迎できない事実"であったのかもしれない。でもそれに関してはプライベートでも口には出さず、とにかく連日の闘いをこなすのに必死だった、という事実だけがそこにある。








