俺ってデビルマン!?

俺ってデビルマン!?

知ってる人は知ってるし、知らない人はまったく知らない…私、元・週刊ゴングの鈴木淳雄と申します。かつて所属していたプロレス業界に限らずに、今現在の私をありのままに記していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 後れ馳せながら、全日本の5.29後楽園大会を見た。三冠、世界タッグ、NWA世界戦と、これでもかとばかりに繰り広げられる全日本らしい闘いの数々に、しっかりとその世界を堪能させてもらった。でも試合個々に絞ってみれば、それぞれ言いたいこともある。ということで改めて初めから振り返ってみよう。


 この時点での北斗軍は何をしたいのか、何を目指して結成するのかまったく分からなかったが、その後、サイラスなど強力な外国人を招き入れることで、何とも魅力的な軍団になってきたのは承知のところ。今後もドンドン魅力的な外国人の受け入れ先として活躍してほしい。それによって大森北斗個人の価値も上昇していくことだろう。


 あと北斗軍に関してもう一つ、とりあえず本題からは外れるけど、素朴な疑問として書かせてもらう。なぜ熊嵐は全日本復帰を果たしたのに、土肥孝司は復帰できないのだろう? その裏には何か理由があるのだろうけど、単純にプロレスラーとして好きなタイプの選手だったので、ちょっと気になります。


 6人タッグはもう何度も書いてきた通り、この団体に男女ミックスドマッチはいらない。幸い、最近同王座はエボ女の興行で石川修司&チーム200kgの手に渡ったことだし、このまま全日本からは離れた王座になってもいいし、男だけの王者に戻ったらまた全日本マットに戻ってきてもいい。とにかくミックスドマッチは本当にもうこれっきりにしてほしい。マ・ジ・で、いらない!


 青柳vs黒潮は、別に遺恨、抗争が全日本マットにあってもいいとは思う。だが、ノーDQマッチに発展するのは話が違う。あくまでプロレス内の正規ルールで抗争をするのはいいけど、イスで殴って勝利する選手に誰もリスペクトはしない。それが王道マットの価値観だから。“ あれもプロレス、これもプロレス”はここのリングでは通用しない。


 アジアタッグの前哨戦8人タッグは何も言うことなし。それは別に悪い意味じゃなく、それぞれの個性がよく出ていたし、別に何も文句はない、ということ。お客さんも各選手の魅力を熟知していて、純粋に試合を楽しんでいた。最近の全日本の後楽園大会の充実ぶりは、こういうところにもよく現れていると思う。


 EC3vs本田竜輝のNWA世界戦は、とにかく衝撃的だった!? 団体自体はまったくの別物だが、かつてのNWAのベルトデザインを用いているだけに、あの頃の試合スタイルを継承したチャンピオンなのかな、と勝手に思っていたのだが、ハーリー・レイスやリック・フレアーを代表とするNWAの歴代王者とは、あまりにかけ離れている。


 例えるなら、かつてWWFの世界王者であったアルティメット・ウォリアーといった感じ? 筋骨隆々のその肉体、そしてその動きは…とにかくギクシャクしている。NWAの歴代王者らしく、相手の攻撃も受けまくっているのだが、その受け方もひたすらギコチナイ。そして攻めもギコチナイ。強いのか弱いのか、上手いのか下手なのか、よく分からない王者。そこがアルティメットに似ている気がした。


 NWAの歴代王者といえば、攻めていても受けていても流れる川の如し、まさに試合巧者の極みだったのだが、EC3はその対局にいるような選手。個人的な感想をいえば、もういいかな!?といった感じ。それでもNWA王者というブランドにはやはり興味があるので、チャンピオンが別の人間に変わったら、また来日してほしいと思う。


 斎藤兄弟vsThe ENDの世界タッグ戦は、これぞヘビー級のタッグ選手権、といった感じ。現代プロレスにありがちな偽りのヘビー級ではなく、そこに立っているだけで誰もが納得するバカデカイ男たちの饗宴。これが、というより、これこそがヘビー級の選手権である。


 この両チームの闘いはこれに終わることなく、何度でも繰り広げていってほしい。年末の最強タッグにも来てほしいし、それ以外のシリーズでもそう。単純に身体をぶつけ合うだけでもド迫力の攻防。これが真のヘビー級のプロレス、それを今、証明できるのは、やはり全日本プロレスだけだと思う。


 メインの三冠戦、もちろん、宮原が全体をリードしているのは百も承知だが、それにしても安齊はよくやっている。王者に対してよくやっているも何もないのだが、キャリア2年にも満たない男が、並み居るトップレスラーを相手に堂々とリングに上がって対等に渡り合い、しっかりと自己主張してみせているのだから大したもの。


 何より、”勝って驕らず“常に前向きかつ真摯な姿勢で相手に、観客に、プロレスに向き合っているところが好感以外の何ものでもない。これこそが超世代軍以降四天王時代から築かれてきた王道プロレスの真骨頂。全日本プロレスの在るべき姿だと思う。


 そういったプロレスに対する姿勢、精神はその系列である全日本とNOAHがしっかりと受け継ぎ、守っていってくれるものだと思っていた。がしかし、最近のノアは完全に新日本かぶれ、三沢や小橋らが築いてきたプロレスに対する概念をことごとく覆し、別の形へと変えてしまっている。


 どんなスタイルを選ぶかは選手や団体の自由、だがそれは見る側の人間にもいえること。その団体や選手のやっていることに共感を得られなければ、それらを支持することはしない。変わり果てたノアを支持するにしてもしないにしても、それはファン各自の、それぞれの自由。


 だが三沢や小橋らのプロレスを長く支持してきた人間がどんな答えを導き出すか、それは大多数の人が同じ結論に達するのではないだろうか? 


 全日本もこれまで、爆破マッチをやったり男女ミックスドマッチをやったり、迷走を続けている。がしかし、安齊勇馬というこの団体の未来を担うニュースターが、まったく接点のなかった三沢や小橋らのプロレスに対する精神を、しっかりと受け継いでくれている気が、私はしてならない。


 安齊が特にそんな意味のコメントをしていた訳ではない。だが実際に安齊がリング上で魅せている闘い、プロレスに対する姿勢、そしてファンに対して送っている言葉などを聞く限り、四天王らが築いてきたプロレスの価値観を、しっかりと受け継いでいる気がする。


 もはや安齊は全日本だけではなく、全日本系統、いや日本プロレス界の希望といえる。スーパースターは一日にして成らず、長い時間、ファンやマスコミと共に歩んだ道程がより理想的な姿に完成させてくれる。それには自身のより支持力を高める努力、そしてその輝きを磨き続ける努力が必要。


 安齊にはこのまま脇道に逸れることなく、真っ直ぐにその王道を歩み続けてほしい。この男に余計な装飾はいらない。そのことを本人はもちろん、団体側にも深く肝に銘じて、今後も邁進してほしい。




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