「?」な息子とシングルファーザー 9
翔は何かを振り切るように、会社で仕事に打ち込んだ。不思議なことに、家庭がぐちゃぐちゃになってからのほうが仕事は悪魔的に冴え渡っている。この日も翔は恐ろしいほどの出来ばえを発揮した。
美麗なデザイン案を見ながら、皮肉なものだと彼は思った。幸福と仕事の能力は何も関係がないらしい。
「翔さん、絶好調っすね」
まだ十代の後輩が寄ってくる。クリエイター連中はいつまで経っても学生のようなところがある。彼らと笑い合い、一緒に飯を食うのは楽しかった。
何も知らない彼らと。
夕方になって、病院の看護師という女性から電話が掛かってきた。