「?」な息子とシングルファーザー  6 | 小説「愛しのアスペル君」

「?」な息子とシングルファーザー  6

 妻が精神科を転々とし、処方してもらった睡眠薬を飲むようになったのは、それからしばらくしてのことだ。


 もういまとなってはきっかけは思い出せないが、そのときは藁をもすがる思いだった、と翔は思う。育児ノイローゼという診断だったのか、それも思い出せない。ただ彼が覚えているのは、「ほら、これで楽になるからね」と子供をなだめるように言いながら、妻の白い腕に注射針を打つ精神科の医者の姿だけだった。