準々決勝、最後のモデルに合わせる課題は「1930年代風のバイアスカットのロングドレスを5時間半で作る」。

 

ストレッチ素材がまだ開発されていない30年代、生地に伸縮性を持たせるために発明されたのがバイアスカット。

型紙を生地に対して斜め45度に置いて裁断。

こうすると生地が伸縮し、体にぴったりフィットする女性らしい(あるいはセクシーな)服になるわけですね。

ポイントは、縫い目は伸ばさないようにきれいに縫製すること。

 

 

Sクラス

 

ガーナにルーツを持つアニー

鮮やかな朱色のサテン生地。

身頃は前で交差し、スカートはあまり広がっていない。

背中を開け、肩からストールを垂らすデザイン。

いかにも30年代風の既成の型紙を使用。

 

仕上がりは、文句のつけようがない素晴らしい出来。

切り替え部分はすべて滑らかにつながっていて、スカート裏の縫い代を包む「袋縫い」も丁寧な仕上げ。

モデルへのフィット感も完璧で、ドレスが体のラインをなぞっているよう。

背中のファスナーは両脇に接着テープを仕込んできれいな仕上がり。

ラインストーンのイアリングで作ったというキラキラの飾りを両肩から垂らしているのもおしゃれ。

艶やかな赤のサテン生地がドレスに映え、まさに30年代のハリウッドを体現。

「この課題で期待したすべてが盛り込まれている」とパトリック絶賛。

 

秘書のデブラ

落ち着いた光沢のイエローゴールドのサテン生地。

細い首ひも、身頃とスカートは大きく斜めに切り替える。

スカートはややフレア、背中は大きく開いて腰のあたりに緩やかなドレープ。

 

仕上がりは、前身頃の裁断の表裏を間違え大急ぎでやり直したにもかかわらず、とても良い出来。

斜めの切り替え部分は接着テープで補強したおかげでしわも寄らずきれいな仕上がり。

背中の腰のあたりのドレープも美しくたわんでいる。

裏はすべて丁寧に「袋縫い」をしたようで、これはお見事。

裾の処理も完璧。

前の脇がほんの少したるんでしまったのだけが惜しかった。

既成の型紙ではないようで、チャレンジングな作品として優秀作品候補に。

 

 

Aクラス

 

コスプレ好きのマン・イー

アイボリーのサテン生地。

「晩餐八時」という映画でジーン・ハーロウが着ていたドレスをイメージして型紙を探し、アニーと同じ型紙にたどり着いた。

なので、アニーとまったく同じデザイン。

 

仕上がりは、華やかで30年代らしさをよく表現。

切り替えの縫い目や肩ひものギャザーの寄せ方など、とてもきれい。

右肩に付けたキラキラのシルバーのブローチも素敵。

私はアニーの赤よりこっちのアイボリーの方が好き。

ただ、背中のファスナーが上手くいかず中心からずれてしまった。

スカート裏の縫い代も切りっぱなしで少々高級感に欠ける。

 

 

Bクラス

 

教師のブローガン

ピンクのサテン生地。

「有頂天時代」という映画でジンジャー・ロジャースが着ていたドレスをイメージ。

身頃は上矢印と山型を組み合わせたような幾何学的な切り替え。

スカートはたっぷりのフレアで、背中はクロス。

ダチョウの羽根のブローチを右肩に付ける。

裏地付き。

 

仕上がりは、切り替えの縫製はきれいだし、切り替えのデザインそのものがいかにも30年代っぽい。

上矢印の山型の切り替えに沿ってラインストーンをあしらったのもしゃれている。

ただ、バスト周りのフィット感がイマイチ。

これは肩ひもの縫製の位置が悪かったためみたい。

身頃がモデルに対して高い位置に来てしまった。

ファスナー周りも生地が引きつってしまい、裾の三つ折りもでこぼこ。

女性らしいドレスの課題なので「得意分野よ」と意気込んでいたブローガンですが、初めて脱落候補になってしまいました。

 

ルーマニア出身のクリスチャン

ワインレッドのストレッチ素材のベルベット生地を使用。

Vネック、袖はフレアで七分、スカートは床を引きずる長さ。

背中は開けずコンシールファスナーで留め、後ろウエストにリボン。

既成の型紙をアレンジしてこんな風にイメージしていたけど、作成中にまた思いついて背中を開けるデザインに変更。

 

仕上がりは、前から見るときれいに見える。

モデルへのフィット感も抜群。

でも、ストレッチ素材を使っているのでフィットするのは当たり前とも言えますね。

問題は後ろ。

30年代っぽくするために背中を開けるデザインに変更したところまでは良かった。

でも広がりを抑えるためにゴムでひもを付けてしまい、このパーツがなんともダサい。

そもそも背中が大きく開いている方がセクシーで30年代っぽいですしね。

袖端の処理も終わっておらず、裾の処理も雑。

 

 

ということで、結果発表。

今回の優秀作品は、アニーのハリウッド調ドレス。

正しい生地の選択と丁寧な縫製で、見事2回目の優秀作品を射止めました。

 

そして、脱落者は、クリスチャン。

バイアスカットの課題なのにストレッチ素材を選択してしまったし、縫製も上手くいきませんでしたねえ。

 

 

さて、次回は準決勝。

最後の脱落者が決まってしまう厳しい戦いです。

テーマは「ニッポン」のようで、楽しみですな~!