イギリスBBC製作のアマチュアソーイングコンテスト番組、ソーイング・ビー。
いよいよ3月12日の放送から、第二回大会の決勝戦が始まりました。
第一回大会は参加者8名、決勝戦は4回戦目でした。
ところが今回の第二回大会は参加者10名で始まり、毎回一人だけが脱落し、この決勝戦はなんと8回戦目!
第一回大会の倍、戦っているわけですね。
あまりにも個性的なメンバーがそろったので、BBCが調子に乗ってここまで引っ張ったのか?
でも8回戦まで楽しめて、良かった!
1回戦ごとに課題は3つ。
ですから決勝に残った3人は、全部で24もの課題に取り組むわけです。
夢溢れる壮絶バトルの最終決戦、開幕です。
決勝に残ったのは、まったくタイプの異なる3人の女性。
丁寧で几帳面、型どおりの裁縫が得意なヘザー
50代半ばくらいで、裁縫歴は30年。
(以前裁縫歴40年と記載しましたが30年の誤りでした。訂正します。)
オーソドックスなデザインを好み、課題の指示を完璧にこなそうと努力する。
型通りに作る課題では1位を3回獲得するも、3つの課題すべてから選ばれる優秀作品には一度も選ばれず。
またリメイクではクリエイティブなセンスを発揮できず、審査員のパトリックから「冒険心がない」と指摘される。
夫のコメント「今我が家はコンテスト一色。マネキンと生地が家じゅうに散らばっている。」
馬術競技の教官というヘザー。
「ずっと人と競って生きてきました。今回はコンテスト最後の戦い。今まで安全策を取ってきたけど、決勝では審査員を驚かせたい。」
天才的な発想力、クリエイティブなタマラ
30代半ばくらいか。
個性的な才能に溢れ、創作・リメイク共に独自のセンスを発揮。
ありきたりを好まず、生地選びとデザインはいつも冒険心に溢れている。
リメイクでは1位を2回獲得し、優秀作品にも二度選ばれている。
しかし爆発と不発を繰り返し、結果には落差がある。
大会前半では個性を主張し過ぎるあまり、丁寧な裁縫に時間がかけられず順位を落とすことがあった。
代々母親から裁縫を学ぶ家系の四代目。
10歳の時、お人形のドレスの手縫いから始まった裁縫人生。
母親のコメント「娘はもう私より裁縫が上手いわ。」
子供向けパフォーマー兼ヨガインストラクターのタマラ。
「守りには入らない。私らしくないもの。最近は早起きして生地店へ。思いついたアイデアは夜中でもメモ。徹夜で練習することも。とにかく優勝したい。」
型紙を使わず、ハイセンスな感性のチネロ
30才前後か。
ナイジェリアの叔母から、既成の型紙を使わずに服を作る技を伝授される。
採寸し、生地に直接チャコで印を付けたり、独自で型紙を作ったりしている。
この驚異の技法でモデルやマネキンにぴったりとフィットさせた服を作る。
曲線を強調した女性的で気品あるゴージャスなデザインを得意とする。
リメイクの課題ではほとんど1位か2位。
優秀作品にも一度選ばれている。
しかし裁縫歴は2年と浅く、縫製に時折難がある。
夫のコメント「妻はいつも仕事から帰るとソーイングに没頭している。」
所属する聖歌隊の衣装もすべて手作りするチネロ。
「裁縫歴の長い二人と一緒に決勝に残るなんて信じられない。本気で取り組めば上達することが証明できたかな。優勝する可能性だってある。」
さて、決勝戦のテーマは「クチュール」。
クチュールとは、フランス語で仕立て、縫製、という意味。
よく聞くオートクチュールのオートとは高級という意味だそうで。
つまりオートクチュールとは、オーダーメイドで作る一点物の高級服、だそうです。
クチュールがテーマの決勝戦は、仕上げ、特に手縫いの技術が問われる。
一つ目の課題は「ネクタイを3時間15分で作る。」
表地はシルク。
大小二つの「剣先」と呼ばれる先端部分に、「剣先裏」と呼ばれる裏布を縫い付ける。
中に芯地を入れ、表地でくるんだら後ろ中心を手縫い。
さらにその縫い目を補強する閂止め(かんぬきどめ)も手縫い。
ヘザーとタマラは、技術をしっかりアピールするためにストライプ生地を選択。
剣先の角度とストライプのラインをぴったり平行にする自信がある模様。
そして二人は着々と作業を進める。
まず生地は伸縮性を出すためにバイアスで斜め45度に裁断。
(ネクタイとは生地を贅沢に使うものなんですねえ。)
剣先裏を付けるところが最初の難所。
次に芯地を歪まないように縫い付ける。
最後の難所が、くるんだ後ろ中心のまつり縫い。
審査員が手縫いのポイントとして一番重要視するところですね。
一方、手縫いは苦手、と言っていたチネロ。
柄ものを選び、指示書とパーツの多い型紙に悪戦苦闘。
しかしそのうち、あまりにも難解な手順が理解できず、泣き出してしまった。
パトリックからヒントをもらい作業を続けるけど、なかなかネクタイの構造が理解できず。
普段型紙を使わないので、型紙の指示通りに作るスキルが低かった。
おしゃれ番長チネロ、史上最大の大ピンチ!
結局この課題、チネロはネクタイを完成させられず、3位。
ほとんどまつり縫い部分に着手出来なかった。
2位はヘザー。
ストライプが剣先と完璧に平行。
まつり縫い部分にやや雑なところがあったけど、悪くない出来。
1位はタマラ。
ストライプはこれも剣先と完全に平行。
まつり縫いも美しいと評価される。
お人形ドレスの手縫いから鍛えてきた技術が、ここで花開きましたね。
そして二つ目の課題。
「シルクのウエディングドレスをリメイクし、結婚式や洗礼式で着る子供用ドレスを2時間で作る。」
さらに、子供用のマネキンにぴったり合わせなくてはいけない。
この課題のポイントは、生地の扱いとクチュールの技。
タマラは「バッサリハサミを入れるのは快感」と独特。
チネロは「罪悪感。誰かの大事なものなのに。」
ヘザーも「ウエディングドレスにハサミを入れるなんて、悪いことをしている気分。」
3人ともまずはスカート部分に着手。
ヘザーとチネロは結婚式用のドレスをイメージ。
ヘザーはウエストにギャザーを入れたスカート。
これはちょっと普通かな。
チネロのスカートはゴムを使ってペチコートにした3枚重ね。
裾がぱあっと広がってるみたいで、これ、素敵そう!
ひらひら大好きのチネロ、「この課題楽しい」とノリノリ。
さっきまで「一生ネクタイは作らない」と泣いてたんですが。
タマラはパーティードレスをイメージ。
スカート部分はウエディングドレスのスカート部分を短く切って使い回し。
これはどうかなあ。
そのままの形が残ったリメイクって、あんまし評価されませんよ~。
スカート部分の次は身頃。
ヘザーはマネキンに直接生地を乗せて待ち針で留め、ハサミで切る、という裁断。
これは大雑把過ぎて結局身頃の前後が合わず、一からやり直しになってしまった。
タマラはマネキンに紙をあてがって、大まかにラインを引いて大まかな型紙を作る。
この方が慎重なやり方ですね。
と思ったら、ダーツは裏表逆に縫ってしまいやり直し、ウエストラインの縫製も曲がってやり直し。
「この生地扱いにくい。インテリア生地の方がまし。」と苦戦。
チネロはウエディングドレスの襟ぐりを切り取らずに、新たに見返しを作った。
ウエディングドレスの襟ぐり自体がバイアスで裁断されているから、これで襟ぐりを作ると伸びてしまう、という理由。
なるほど。
また元のドレスに付いていた花のコサージュも活用。
さらに袖も付けた。
袖口は三つ折りはしミシンにする時間がないからオーバーロックミシンで、と冷静な判断。
(三つ折りはしミシンって三巻のことなんじゃないですかねえ。ハンカチの端とかを細い三つ折りにするやつ。)
マネキンに着せたとこは映ってなかったけど、可愛い仕上がりに見える。
これで挽回したんじゃないかなあ。
ヘザーはドレスの生地を切ってバイアスを作り、襟ぐりをくるむやり方みたい。
一からやり直したので時間をロスしてしまった。
ドレープがほとんどない、単調な身頃に見える。
タマラは縫っているそばから身頃の縫い目がほどけてくる。
ウエストリボンはかわいいけど、縫い目はちょっと雑そう。
ということで、リメイク対決はチネロの作品が期待大。
結果は来週、3月19日の最終決戦で。
さあ、このコンテスト最後の課題は、華やかなドレス対決。
モデルはサプライズ、過去の参加者も集まるようです。
長い戦いが終わり、ついに優勝者が決まりますね。
運命の最終決戦、お見逃しなく!