長毛黒猫の女の子。
他の猫ちゃんにとても優しくて、にこねこ保育園の「副園長」
「にこねこ保育園」というYouTubeが始まったきっかけになったが「さえちゃん」です。
2021年7月猛暑の続く頃、長毛黒猫の女の子が、突然現れ、地域猫ボランティアさんが、「さえちゃん」と名前をつけ、ご飯をあげながら、様子を見ていました。
ある日、ご飯を食べたあと、体調が悪そうだったので、熱中症の疑いもあり、保護して病院に連れていきました。
推定1歳なのに、2.5kgしかなくガリガリに痩せていました。
8月8日、にこねこ保育園に入園したさえちゃんは、原因不明の体調不良が続き、1日置きに通院し、点滴治療を続けます。
原因を突き止めるために、2つ病院に通い、当初は抜歯が必要と言われていましたが、血液検査とエコー検査で微量の腹水がある事が判明、致死率99%の「FIP」の疑いが出てきました。
さえちゃんは、保護猫団体さんからお預かりした猫ちゃんだったので、団体さんと相談して、医療費も考慮して、保護猫活動を行っている病院に転院しました。
2回のエコー検査で腹水は消えていて、「FIP」の疑いは少なくなりました。
安心したのも束の間、抜歯の術前の血液検査で異常値が見つかりました。
血中アンモニアと血清総胆汁酸の値が高く「門脈シャント」の可能性があることがわかりました。
「門脈シャント」は、猫では発症率が2%、内科的治療しかなく余命は2ヶ月〜2年の難病。
CT検査が必要なため、次の病院に転院。
団体さんと話し合った結果、さえちゃんはにこパパさんとにこママさんご夫婦が引き取り、獣医師が匙を投げない限り、治療を続ける事に決めました。
CT検査と肝生検の結果、さえちゃんは先天性の肝疾患「先天性肝繊維症」と診断されました。
肝臓が繊維化していて硬くなり、正常に機能しなくなってしまっている。
さえちゃんの身体は、生き抜くために、沢山の血管(門脈シャント)作っていましたが、本来肝臓で解毒されるアンモニアが、その血管を通して全身に回り、体調不良になってしまっていたのです。
その多くの門脈シャントは、獣医師も見た事がなく、教科書にも載っていないものでした。
人間でいえば、生体肝移植が必要な状態ですが、猫ちゃんにはそれはできません。
肝臓で処理できないアンモニアが出ないように食事療法をしたり、アンモニアを下げる薬などの対処療法しかありません。
「長生きはできない。1年後も危ないかもしれない。」
この時さえちゃんは、にこねこファミリーの一員になりました。
病気の事を知って貰いたい、さえちゃんが懸命に生きている事を記録として残したい・・・
こうして、YouTube「にこねこ保育園」がスタートしました。
そして、保護されてから、もう直ぐ3年。
今、さえちゃんは、体調の波はありますが、元気です。
勿論「肝繊維症」は治りません。
毎日療法食を食べ、お薬も欠かせません。
定期的に通院も必要です。
でも、さえちゃんは、頑張っています。
さえちゃんは、病気のために、避妊手術がてきなくて、定期的に発情期が訪れ、苦しんでいました。
それを救ったのが、のちににこねこファミリーになる「ポポ」ちゃんでした。
さえちゃんとポポちゃんは、血のつながりはありませんが、本当の親子の様に、支え合って生きています。