大崎市を考える⑥ 廃れゆく硫黄の香りの地をどうしたらよいのか? | ゴッドハンドではない鍼灸師の日々これこれ

ゴッドハンドではない鍼灸師の日々これこれ

あすなろ院長が臨床で感じたこと、その他について気軽に書いていきます!(*^-^*)

大分県別府市には伝統的に「地獄蒸し」なる調理法がある。

温泉の蒸気で食材を蒸し焼きにするものだ。

商店街で蒸し焼き用の食材を購入して、蒸し焼き調理することもできる。

実に面白いと思った、地元の食材などを使ってもらうチャンスでもあるし、

温泉がこのような使い方が出来ることを楽しんでもらえると思う。

 

このような温泉の利用方法は大分県に限らず温泉地では昔から当たり前のようにあると考えていたがそうではないらしい。

「阿岸祐幸著、温泉と健康(岩波新書)」によれば、

日本における温泉利用は殆どが入浴であり、その他の利用はあまりみられないとし、

温泉国が多いヨーロッパでは飲泉やリハビリ、プール、吸入、蒸気浴、ガス浴、泥浴など

様々な利用方法が用いられていると報告している。

 

伝統的に鳴子温泉は湯治場として利用されてきた歴史があるが、

現在、入浴以外の利用方法が殆どみられていないのが現状だ。

 

最近、温泉の熱を使ったドライフードの開発があるようだが、

折角の温泉を色々な形で利用する試みがもっとあっても良いと思う。

 

鳴子温泉のマッサージ師の友人の話し。

マッサージ客に鳴子温泉のことを聞いてみると、「確かに泉質などは良いが、

温泉に入る以外の楽しみがないからつまらない」と答えるらしい。

また、ある旅行代理店勤務の患者さんによると、「鳴子温泉を旅行プランの中心にすると、

他に観光地が無いため、バスの移動距離が長くなってしまう」らしい。

 

鳴子温泉に限らないが、

温泉だから、泉質が良いから、源泉かけ流しだから人が集まる時代は終わったかもしれない。

現に流行っている温泉地は温泉そのものも勿論だが、その温泉の伝統や自然環境、料理、アクティビティなどが豊富で、

行くことで癒し・安らぎの他、ワクワクするような感動を得ることが出来るものが多い。

 

鳴子温泉や大崎市にはこのような感動は存在するのだろうか?

何か足りないものは無いだろうか?

 

借り物のアイディアではあるが鳴子温泉で温泉蒸しの食事施設も良いし、

熱を利用したサウナや砂蒸しなども面白いと思う。

日本人には難しいだろうが、外国人を対象に長期滞在療養型の温泉保養地も考えてみても良いかもしれない。

このようなヒントは日本中、世界中に転がっているので、

面白いと思うことはどんどんやってみた方が良いと思うのだがどうだろうか?

 

また、鳴子温泉自体以外の自然環境の利用も今一つパッとしない。

潟沼、鳴子峡、禿岳・・・もっともっとアピールできるところ、そしてその方法があると思う。

実際、県外からの友人らを鳴子温泉に招くと、もっと上手く宣伝すればいいのに・・・ということが多い。

 

鬼首に地獄谷遊歩道というところがあり、

沢沿いの遊歩道を歩くと、岩の割れ目や川の中から温泉が吹き出し、

目や耳や鼻で思いっきり楽しめるので、私は県外の客人が来たときは高確率で連れていく。

残念なのは、遊歩道が奥まで行けなくなっていること、

そして、数分に一回のブシュ―ー!!という温泉の吹上が無くなったことだ。

 

地元の人がどう考えているか分からないが、

観光や集客にとってこのようなアトラクションってとっても重要である。

 

日本の人口は1億人ちょっといたので、

社員旅行だ、農協の旅行だ、湯治だ・・・・経済は回っていた。

昭和の時代はそれでよかった。

 

今、この令和の時代は全く考えがことなる人が若者として存在する。

昭和脳のおじいさんやおじさんが古い考えで推し進めるよりは、

若者や県外の方の意見を参考に大きく改革しなければならないと思っている。

 

でも、そんな意見は地元の人は何度も耳にしているとは思う。

私なんぞが口をはさむことではないとも思っている。

しかし毎年、1軒、1軒良い温泉旅館が無くなっているのは本当に忍びない。

本当に、何とかならんかなー!