松蓬くんが行く② 恩師の強烈な言葉 前編 | ゴッドハンドではない鍼灸師の日々これこれ

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あすなろ院長が臨床で感じたこと、その他について気軽に書いていきます!(*^-^*)

鍼灸学校卒業後は山形県の整形外科で働いていましたが、鍼灸治療はほとんど出来なかったので、だんだん仕事に対するモチベーションが下がっていきました。

反対に”このままでは鍼灸治療が出来なくなってしまう”という恐怖感が募っていきました。その時期に友人からTG大学で鍼灸の研修生を募集しているのを聞いていました。

渡りに船とはこのこと。すぐに応募し、試験に合格、翌年から鍼灸部門の研修生になることが出来ました。

 

そこでは日本では珍しい国立大学で鍼灸師が鍼灸の科学的研究をしている機関で、研修生は英語論文の輪読、一般疾病の勉強会、さらに鍼灸学会の発表と朝から晩まで臨床や勉強でバタバタしていました。4月に研修が始まりますが、ほとんどの研修生が研修開始2ヵ月で1度は寝込むほどハードでした。私もゴールデンウィーク前に1度風邪をひいて寝込んでしまいました。「洗礼のようなものだよ」と先輩研修生に言われました。

 

当時研修生はメイン教官とサブ教官に着くことができ、大概は2~3人ほどの先生に着いていました。先生は週1回~2回鍼灸外来にでできますので、本研修が始まる6月頃には大学の研修センターに2~3日出勤し、残りの曜日は生活費を稼ぐためにアルバイトをしていました。アルバイトは茨城県内のクリニックで鍼灸やマッサージをしたり、訪問マッサージをしたり、メイン教官の研究のお手伝いなどをしていました。けっこう高額なアルバイトもありました。

 

研修1年生は当時10人ほどいましたが、すでにどの教官に着くか決まっている人もいれば、4月~5月のフリー期に教官の考え、研究、臨床を見たり、聞いたりして教官に了解を受けて晴れてその先生のグループに所属できるというものでした。私はどの先生に着くか決めていませんでしたからフリー期に先生の臨床を診たり、話を聞いたりして決めようと考えていました。

 

4月の歓迎会のことです。会場は大学の食堂でした。他の1年生もそうですが、歓迎会で積極的に先生のお話を聞いて師事教官を早く決めたいと思っていました。早めに支持を表明して、教官の好感度を上げる作戦です。なので、皆も必死に質問したり、自分をアピールしていました。僕も興味がある先生にあれやこれやと質問していました。

 

どの教官にするか決まってはないもののボヤっとしたイメージはありました。それは経絡治療を科学的に観ると何か?ということを判明したいと考えていたからです。

 

経絡治療とは日本鍼灸のある一つの流派で手首の脈を診てその患者の状態を判断し主に手足のツボに浅く鍼を刺し治療を行うものです。学生時代にあるきっかけがあって勉強させていただいた経緯があり、その治療の科学的原理を不思議に思っていました。
なので浅く刺して、手足に刺す鍼灸治療を経絡治療以外で観ることをすれば何かが分かると考えていました。キーワードは遠隔治療と自律神経でした。

遠隔治療はK先生、自律神経はM先生が権威でしたからこの2人の先生のお話をお聞きして揺るぎない決断にしようと思っていました。

 

K先生は気さくな人柄で楽しく話をすることが出来ました。

 

そして、M先生に声をかけました。最初は和やかな会話でしたが、私が現在している北千住のマッサージ院の話をしていると・・・

「君は臨床をする資格が無い!」と怒鳴られてしまいました。

当然、会場はシーンと静まり返りました・・・・続く