前髪を作るか作らないか迷っている。
前髪があると顔を洗うときや
汗をかいた時に鬱陶しい。
だから前髪を作らないことが多い。
自分の快適さ重視な判断。
しかし時々、前髪があった方が
顔が小さく見えるのではないか、
そもそもどちらが似合っているのだろう。
他人からの目を気にした乙女な迷い。
人からよく見られたい。
そうして今回の本
「なぜ外国人女性は前髪を作らないのか」
を手に取った。
この本によると前髪を作ると幼い印象になるため、
ヨーロッパの成人女性は前髪を作らない傾向にあるらしい。
ヨーロッパでは「大人は大人らしく」ということだろうか。
確かに「かわいい」が溢れている日本とは
ファッション、人気のモデル、女優の雰囲気が
だいぶ違うように感じる。
また髪質の違いも前髪を切るか伸ばすかに
影響を与えているという。
どう見られたいのか、
自分の髪質にはどちらが合うのか。
前髪はこのまま伸ばしておこう。
このように日本と欧米の違いを解説しながら、
どちらが優れているということではなく、
自分らしい生き方を応援してくれるのが本書である。
その中でも私が一番勇気付けられたのが
第三章「こんなに違う、子作り&育児のなぜ」だ。
「女性なのだから子供を産んだ方がいい」
「女性にしかできない貴重な体験」
「お腹を痛めて産むからこそかわいい」
出産は今のところ女性にしかできないし、
命を生み出すというのはすごいことだと思う。
ただ作者が言うように「神秘」を
前面に押し出しすぎているようにも思う。
私はキリスト教徒ではないが、
中学生の頃聖書で
知恵の実を食べたことで
女性には産みの苦しみが与えられたという
一文を読み、ひどく腹ただしさを覚えた。
以後、出産は
「罰」なのだという意識があり、
「神秘」とは真逆のところにいる。
なので合理的に出産スケジュールを立て
あえて帝王切開を選んだり、
無痛分娩が普通のことになっている欧米の様子は
「神秘」でも「罰」でもなく
自分たちの暮らしに向き合っていて
いいなと思えた。
井の中の蛙、大海を知らず。
こんなにも情報が溢れている社会なのに
それでもなお狭い考えに囚われてしまう。
スマホやパソコンはご丁寧に
欲しい情報だけをくれる。
自分の周りにいる人たちの声が
勝手に耳に入り込んでくる。
テレビは切り取られた一部の報道。
意識的に大海に飛び込む、
体が強く水面に打ち付けられ痛む。
跳ねるしぶきはキラキラ輝く。
顔を上げても前髪は張り付かない、
視界はクリアだ。