湊かなえ作『ブロードキャスト』を読みました。

 中学時代、駅伝に打ち込み高校も陸上部に入る予定だった圭祐は、交通事故に遭い入部を断念。不甲斐なく放送部に入部したものの、どんどんのめり込んでいく部活動生活を中心として描かれた青春物語。中学時代、同じ陸上部で切磋琢磨した友人・良太の存在を常に意識しながら、放送部で出会った友人・正也と久米さん、そして先輩たちとラジオドラマを作り全国高校放送コンテストに挑んでいきます。

 駅伝と放送部はかけ離れた存在に思えますが、ラップタイムが放送部でも役に立つことや、試合に挑む気持ちとコンテストに挑む気持ちの類似など思いのほか共通点があるという指摘がページを進めさせます。

 勝ち負けや青春謳歌は体育会系だけでなく文化部でもあり、やはり中学、高校の部活動で体験することはどんな部活であれ、その時にしか感じられない、その時にしか体験できないことが詰まっている貴重な時間だと思います。

 「番外編」も所収されており、それぞれのキャラクターがどんな背景で放送部とつながっているのか、意外な接点がそれぞれあり、そこも読みどころの一つです。