母と花見 | across the sky, beyond the horizon

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あの空の向こう、あの水平線の彼方…
私は何を見て、何を想うのだろう…

 

桜** 予定を合わせて母と京都に出かけた

以前から頼まれてはいたのだがようやく重い腰をあげた私

 

 

目的はすっかり足腰の弱くなった父のため、その御利益篤い護王神社に参拝すること

 

 

 

御祭神の和気清麻呂公ゆかりのイノシシがシンボルの神社

足腰のお守りを授与いただき母と共に父の健康長寿を願った

 

 

 

護王神社の参拝を終え、烏丸通をはさんで広がる京都御苑に入った

久しぶりに上洛した母は御所の紫宸殿や庭園などに深く感銘していたが、

さらに喜んだのは美しく咲いた枝垂桜だった

 

 

 

この日、ちょうど京都に桜の開花宣言が出された

近衛邸跡の糸桜はここ数日の雨で十分潤ったのか艶やかに咲き誇っていた

 

 

 

目の前で雅に枝垂れる桜を愛でながらはしゃぐように感動する母

こんなにも喜んでくれるなら毎年連れて来てあげたらよかった…

親不孝な息子は今更ながら思った

 

 

 

御苑で花見をしているうちにあっという間に正午を過ぎた

せっかくの古都、ささやかながら京料理でも食べに行こうと誘った

老齢な母は量こそ食べれなくなっていたが、

旬の食材と繊細な味付け、その盛り付けの技などに興味を持って喜んでくれた

 

 

 

昼餉の後にはゆっくり花見でもして過ごそうかと提案した

まだ梅の香る北野天満宮にも行った

にわか雨も降る曇天の一日だったが、天神様の御神威かここでは不思議と晴天に恵まれた

 

 

 

天神様の梅の花を愛でた後はすぐそばの桜の宮、平野神社に足を運んだ

母には京都の花見シーズンの訪れを告げる魁桜の姿をぜひ見せたかった

その魁の桜は期待以上の美しい姿で親子を迎えてくれた

 

 

 

朝からの散策で母は疲れていたろうが、桜の咲く姿を見て元気を取り戻したようだった

桜を祀る社があることを知らなかったから、その感動もひとしおだったようだ

 

 

 

「今日は楽しかったわ。ありがとうね、また連れて行ってね」

そう繰り返す母を見るとなぜだか胸がキュッと詰まってしまう

私は何か話すと泣いてしまいそうだったから、そっぽを向いて頷くだけにした

 

 

 

久しぶりの親孝行を咲きはじめた古都の桜たちが見守ってくれた

父も連れて来られたらよかった

父に護王神社のお守りが効き、来年は両親と来られればいいなと思った 桜吹雪

 

 

 

 

(撮影日:2018年3月22日)