白川郷の最後に『合掌造り民家園』に立ち寄った
一集落の集団離村を機に設けられた、合掌造りを保存するための野外博物館だ
私にとっては白川郷に来たら毎回訪れるお気に入りの場所
荻町集落のように観光客で大賑わいということもない
だから心ゆくまで合掌造りの里の四季を楽しめる
けれどもここは人の住まなくなった集落なのだ
主人を失った合掌造り民家やその集落にあった建築物からは、寂寥感が漂う
晩秋の風景がそれに拍車をかける
100年200年と綿綿と続いてきた営みが、ある日突然に終わった
人々の暮らしが途切れ、家屋だけが抜け殻のように残される哀しみ
ここには二度と戻ることのない日常の思い出が刻まれている
それに気づいてしまうと、観光客の身でもいたたまれなくなる
古き良き時代の集落の記憶は、世界遺産・白川郷の願いを代弁しているように思えた