松下洸平と山﨑賢人の主演で、

来年2月に公開される映画の原作。

らしいけど実は映画化されている事自体、

一昨日まで知らなかった(笑)


何しろ上梓されたのが2003年。

その文庫化が2006年。

更に今年、改訂されて再発売されたのを、

春に見つけて予約した。

最初に書かれてから20年余りが過ぎているので、

正直言って今更映画化されているとは思わなかった。




内容はあり得ない位、酷い話で、

作者は書いてて嫌にならないのかな、と思うレベル。

この最悪だが究極の人たらし、倉持を、

爽やかな山﨑賢人が演じるのも、

利用するだけ利用され、

憎みながらも憎みきれずにいる人の良い田島を、

見るからに人の良さそうな松下洸平が演じるのも、

まあよく考えられたキャスティングと言えそう。


ちなみに小説内に出てくる、

東西商事の詐欺事件は、

豊田商事をモデルにしているんだろうな。

約3万人から約2,000億円以上をだまし取った、

日本最大級の組織的詐欺事件だったし、

最初にペーパー商法で高齢者をターゲットにした、

悪辣な詐欺が表面化した後、

そこで詐欺を働いていた人達が、

それぞれ独立して同様の詐欺を繰り返していたところまで同じだ。


倉持が詐欺被害者に刺されるのも、

永野豊田商事会長刺殺事件を彷彿とさせる。

マスコミの目の前で起きた事件だったので、

当時センセーショナルに報道されたが、

主犯が殺された事によって金の流れが分かりにくくなり

被害金の回収が大変だったようだ。


そういえば永野会長のバックに黒幕がいて、

口封じの為に殺害を依頼したのでは、

という説まで出ていた様な。


作者はほぼ同世代なので、

あの事件が衝撃的だったのは、

とてもよく分かる。



そしてこの小説の最大のテーマ、

田島は殺人の門、をくぐったのか?



人の気持ち、って不思議だな、と改めて思う。

悪意の限りを尽くし、

田島の人生を滅茶苦茶にしながら、

どこか田島に対する思いも感じる倉持。

そんな倉持を疎ましく思いながら、

キッパリ断ち切りきれない田島。


腐れ縁、と言ってしまえばそれ迄だが、

2人にしか分からない絆がある様にも見える。

終わらせるには、ああするしか無かったのかもしれない。

倉持は最早、意識が戻る事は無い、と医師に断言されているのだから、

田島は悪魔の様な倉持など、

今度こそ切り捨てて、

自分の人生を取り戻せば良かったのに。




映画の公式サイトに、

作者の東野圭吾がコメントを寄せている。


「今回の映画化に、私はすでに二度驚かされています。

一度目は、こんな厄介な小説を映画にしたいという人がいて、そんな映画に出たいという役者さんがいると知った時です。

二度目は今回で、そんな企画が実現したことに驚いています。

そして三度目は、たぶん映画を見た後でしょう。

感動のあまり惚けているか、別の意味で惚けているか、今からとても楽しみです。」



公開が2月、という事は、

恐らく0号試写もまだだろう。

作者はその楽しみな映画を、

観る事なく旅立ってしまったのだと思うと残念だ。

映画が原作に忠実に作られているのか、

大幅に改変されているのかは分からないが、

出来上がった映画にどんな感想を抱いたのか、聞いてみたかった。



今回、公式サイトを見つけて驚いたのが、

ガンさん役で佐藤浩市が出ていたこと。

なるほど、嵌っているかもしれない。

そしてまだ公開されていないが、

由希子と美晴に誰がキャスティングされているか、も興味深い。


観に行けるかどうかは分からないが、

ちょっと気になる映画ではある。