東野圭吾のクスノキシリーズ2作目。
だが、このシリーズはこれで完結なんだと思う。
上梓されたのが2年前。
東野氏がいつから闘病していたのか分からないが、
その時点で余命を把握していたとは思えないので、
この話は余命関係なく、
この終わり方を選択したのだろう。
勿論、もっと書く気になれば、
クスノキの不思議な力を使った話は幾らでも書ける。
だが、登場人物の帰趨を考えれば、
この着地が相応しい気がする。
玲斗と千舟さんの物語とすれば、
美しい幕の引き方だと思う。
また、脳腫瘍手術の後遺症で、
寝たら新しい記憶が全て消えてしまう中学生、元哉も、生と死について考えさせてくれる。
現象としては高次脳機能障害、ということなのだろうが、
楽しい記憶も寝れば消える、って、
本人にとっては堪らないだろう。
そういえば昔、80分しか記憶がもたない数学者とシングルマザーの家政婦親子の交流を描いた、
博士が愛した数式、という、
小川洋子の名作もあったっけ。
その辛さは他人には推し量れないだろうが、
心を寄せる事はできる。
玲斗と女子高生、佑紀奈が元哉に心を寄せて
力を合わせて完成した絵本、「少年とクスノキ」は、
元哉の生きた証、とも言える。
小説の中で概略は語られるのだが、
どんな絵本になったのだろう、と思っていたら、
東野圭吾自身の手で、
絵本として制作されていた事が分かった。
しかも、今年公開されたアニメ映画の中で、
千舟を演じた天海祐希が、
小説で千舟がしたように、
この絵本を朗読している映像が、
YouTubeで公開されている。
とりあえずこの絵本も図書館で予約した。
いつ届くかは分からないが、
読んでみたいと思う。
この絵本で佑紀奈と元哉が言いたかった事は、
そのまま東野圭吾が言いたかった事だと思うので。