政府は、高額療養費制度の負担上限額の引き上げについて、

与野党から更なる見直しを求める意見が出ていることから、

一旦決定した今年8月の引き上げを、

見送る事にしたらしい。


ひとまず良かった。


医療費の圧縮は、考えなければならない課題ではある。

高齢化が進む日本社会においては、

深刻な問題になることも分かっている。

だが、今回の上限額の引き上げ案は、

安易に過ぎた様に思う。



収入の多い人に応分の負担を、というのは、

一見公平に見えてそうではない。


同じ年収500万でも、

独身や子供のいない共働き世帯と、

2人、3人、と子供を育てている世帯では、

可処分所得が全然違う。

家族が多くなれば、

かかる費用も高くなってくるのは当然で、

これからの社会を支えてくれる次世代を育ててくれている世帯に、

単に年収だけ見て同じ負担、はおかしい。


これが例えば年収3000万とかになれば、 

医療費の100万負担増位ではビクともしないだろうが、

平均的所得、と言われている、

370万〜770 万の所得層は、

年齢的にも子育て世代が多く、

しかも社会の中心で働いて貰わないといけない世代でもある。


その人達が、高額療養費の負担が増えるからと、

先進医療を諦める事は、

働き手を減らす事に繋がるし、

その結果、治療次第では、

寛解して働き続けられたかもしれない人を減らす事にもなる。

そして大黒柱を失うことは貧困に繋がり、

場合によっては生活保護に頼らざるを得ない人を増やし、

圧縮できた医療費以上に、

社会保障費を増やす結果になりかねない。



医療費を減らす所を間違っているのだ。

自民党は、票田でもある高齢者を敵に回したくないのだろうが、

減らすなら高齢者からだらう。


誤解を恐れずに言うなら、

私自身も既に高齢者だが、

生産性を考えた時、

お金をかけるなら、

先細りになる高齢者より、

現役世代にかけるべきだと思う。


70、80になって、

高額な医療費を払えないなら、

それは仕方ないではないか。

何百万かけたところで、

そこから何十年も生きられる訳では無い。

同じかけるなら、

40代50代の人にかけた方がコスパも良い。


加えて高齢者になれば、

生命活動が緩慢になるから、

病の進行も遅い。

治療の効果を考えれば、

これまた若い人の方が効果の有無の差が大きいだろう。



勿論高齢者になっても、

若い頃から貯蓄に励んで、

お金はあります、とか、

ガッツリ医療保険かけてました、という事なら、

自己負担でガンガン使えば良いのだ。



今は癌でも病状と治療によっては、

普通に暮らせる人が大勢いる。

治る病気になりつつあるのだ。

その為に莫大な医療費がかかる、というなら、

これから社会に貢献できる人を優先すべきだろう。


それこそ、後期高齢者の医療は、

最低限でいいのではないか?

痛みを取って楽に暮らせる為の治療はともかく、

治そうとしなくてもいいんじゃないか、と、

個人的には思っている。



高齢者からは猛批判を受けるかもしれないが、 

自分の事が自分ででき、

例え動けなくなっても、

知識で貢献できる、ならまだしも、

単に社会の負担になるだけの長生きなら、

しなくて良いんじゃないか、と思っている。




8月の引き上げは見送りになったが、

石破さんは秋までに改めて方針を検討し、

決定する、と言っている。


が、夏の参議院選を見越して、

先送りにしただけではないか、と疑っている。

この選挙が終われば、

当面、国政選挙は無い。

次の3年後の参議院選か、

その辺りに衆議院選があるだろうが、

少なくとも3年近くは無いのだ。


その間、少数与党なのは変わらないが、

国民がしっかり見張っていないと、

いつの間にやら野党を取り込んで、

好き勝手やりかねない。


今は野党も国民の目があり、

次の選挙に直結する、と思っているから、

頑張って主張しているけど、

国民の関心が薄れれば、

連立、なんて言われて日和らないとも限らない。



少なくとも今回、

自公が少数与党になったお陰で、

あの杜撰な負担額引き上げができなかった、のなら、

法案が簡単に通らない、という事は、

むしろ国民の為になっているのではないか。

引き続き野党には頑張って頂きたい。