三菱UFJ銀行の行員が、

貸金庫から多額の現金や金塊を盗んで逮捕された事件、

被害額は17億円にも及んでいたそうだ。


支店長代理も務めた今村由香里容疑者は、

ギャンブルで借金が嵩み、

恐らくその借金を返す為だったのではないかと思うが、

FX投資などで更に損失や借金が膨れ上がり、

負債総額は10億円以上になっていたらしい。


貸金庫の鍵の管理を任される、という管理職の立場を利用したにしても、

17億円分も盗んでいて、

よく4年半も発覚しなかった、と、

そちらの方にむしろ驚く。 

三菱UFJ銀行練馬支店の管理体制はどうなっていたのか?と言われても仕方ない。

銀行内で気づかなくても、

これだけの長期間なのだ、

滅多に貸金庫を開ける事が無くても、

顧客が気づいてもおかしくないように思うのだが。


勿論貸金庫の管理をしていた訳だから、

滅多に来ない客を選別していたのかもしれないが、

それにしたって4年半は長過ぎる。

もっと早く見つかっていれば、

それだけ被害も少なくて済んだはずなのに。



三菱UFJ銀行としては、

顧客の申告に応じて全額補償するようだが、

金塊なら何本、とハッキリ分かっても、

現金を幾ら入れていたか、

正確に覚えている人ばかりではないだろうから、

被害総額はさらに膨れ上がるかもしれない。 

大体金の価値が、

4年半前より倍になっている。

今補填するとなると、

それだけ費用もかかる。


そして今村容疑者本人からは、

とてもじゃないけど全額回収などできるはずもない。

頭取達の給料の1部返還なんかしても、

形式的にしか過ぎず、

その分、まあ損金扱いになるのだろうが、

当然収支は悪化する訳で、

真面目に働いてきた行員に、

ボーナス減額等で皺寄せが来るのは気の毒だな。



今村容疑者の罪は、

単に窃盗を働いた、だけに留まらない。

三菱UFJだけてはなく、

全ての銀行の信用を、

失墜させた事にある。


姪の夫が、他行だが某銀行の支店長をしている。

この事件があった後、

貸金庫を利用している顧客の1人から、

確かに入れたと思うんだけど無い、という問い合わせがあったらしい。 


その人からは後日、

すいません、家にありました、というお詫びの電話が掛かってきたそうだが、

それだけ利用者も疑心暗鬼になっている、という事だろう。


元々は顧客サービスとして始まった貸金庫だが、

こんな事件が起こってしまったら、

今後は無くなる方向に進むかもしれない。

実際、盗まれた物の中には、

親の形見の指輪、など、

金銭には代えられない物もあったというし、

銀行側にしても、

リスクばかりでメリットは無い。


ここまでの高額でなかったので、

表沙汰になっていない貸金庫からの窃盗は、

これ迄にも色んな所であった、という話も聞こえてくる。

 

銀行の在り方も含めて、

当たり前と思っていたサービスも、

見直す時期に来ているのかもしれない。

性善説に基づくサービスは、

もう通用しないのだろうか。

残念ではあるが。