3年前、大分市の県道を時速194キロで走行し、
交差点を右折してきた車と衝突し、
運転していた小柳憲さん(当時50)を死亡させた事故。
運転していた当時19歳の被告が、
危険運転致死罪に問われていた裁判で、
大分地方裁判所は
「ハンドルやブレーキのミスで進路を逸脱する危険性が想定される」として、危険運転の罪が成立すると判断し、
被告に懲役8年の判決を言い渡した。
この裁判では、
時速194キロが危険運転致死罪の処罰対象になっている、
『進行を制御することが困難な高速度』にあたるかどうかが主な争点だった。
一般的に考えて、
制限時速の3倍以上のスピードは、
十分危険運転だろう、と思うが、
弁護側は「道路に沿って直進走行できていた」として、
より刑の軽い過失運転致死罪が適用されると主張していた。
いやいや、制御できているなら事故は回避できたでしょうに。
しかも死亡事故になるほどの衝突をしている時点で、
制御できていた、なんて、
よくも図々しく主張できるな、と呆れるけれど、
そもそもはこの危険運転の規定に、
具体的な数値が明記されていないことが、
問題の発端とも言える。
危険運転罪のハードルが高すぎると
各地の交通事故の遺族が訴え続けてきた結果、
現在、法務省の検討会は、
適用要件の見直しをめぐって議論を進めており、
この中では規定された最高速度の2倍や1.5倍を数値基準とする意見も出されているらしい。
大体、単なるスピード違反でも、
30キロオーバーは一発免停で、
尚且つ、6ヶ月以下の懲役、又は10万円以下の罰金という刑事罰になる可能性もある。
罰金は反則金と違い、
前科のつく刑法上の処分なのだ。
これが50キロオーバーになると、
過去3年以内に累積で3点の軽微な違反があると、
免停ではなく、免許取り消しとなる。
行政処分上は、更に重い認定をされている訳だ。
にも拘らず、死亡事故を起こしているのに、
194キロ走行が通常運転、と言われても、
被害者家族は到底納得できないだろう。
今回の見直しで、
何キロオーバーから危険運転に認定されるかは分からないが、
1.5 倍でいいんじゃないの?という気がする。
それでも60キロ制限の道路だと90キロ、
十分危険なスピードだろう。
今回の事件をキッカケに、
スピード超過による事故が厳しく取り締まられるようになり、
少しでも無謀運転する人が減れば、
せめてもの供養になるだろうか。
亡くなった小柳さんとご遺族にとっては、
還っては来ない、事が全てだろうが。
この裁判で思った事がもう一つ。
危険運転致死罪の法定刑の上限が懲役20年。
今回は求刑が懲役12年。
判決は更に短い懲役8年。
概ね求刑の八掛けの判決が多い、とは言うものの、
このケースでは7割にも満たない。
日本は交通事故について甘過ぎないか?
人が亡くなっているのだ。
特にこの事件では、
万一事故が起きれば、
死亡事故になっておかしくない暴走をしているのだから、
過失じゃなくて未必の故意による殺人でもいいんじゃない?とすら思う。
まあ誰かを狙ったんではなく、
事故には違いないから、
難しいのは分かっているけどね。
この被告が馬鹿げたスピードを出した理由が、
「加速する感覚を楽しんでいた」
「ワクワクした気持ちに勝てなかった」
からだそうだ。
これだけのスピード違反をして死亡事故を起こしていたら、
当然免許は取り消しになるだろうし、
欠格期間もそれなりに長くなるだろうが、
それでも欠格期間そのものが最長で10年、という事は、
恐らく出所する頃には、
また免許取得が可能になっているのではないか。
この事故以前にも、
何度も大幅なスピード違反を繰り返していたそうなので、
こういう人は、またやるのではないか、と危惧する。
本当に反省しているのなら、
2度とハンドルは握らない、という決意をして欲しい、と思うが、
法的に止める手立ては無い。
悪質な事故を起こして免許取り消しになった人は、
欠格期間なんて定めないで、
2度と免許を交付しない、様に法改正できないものか。
それはそれで基本的人権が、とか言う人がでてくるのかもしれないが、
暴走を楽しむ様な人達には、
免許を与えないで欲しい、と思ってしまう。
そうやって下らないスピード感を楽しんだ結果、
人を殺し、自分の人生も破壊してしまう羽目になる位なら、
運転させない、という選択も必要なのでは無いだろうか。