シーズン開始早々、
大揺れに揺れた違法賭博問題は、
水原容疑者の銀行詐欺での訴追で、
一段落ついた。
あれだけ献身的にサポートを続けてきた水原容疑者が、
まさかあそこまで悪辣な手段を使っていたとは衝撃だったが、
大谷選手が関わっていない事は信じていた。
これまでずっとストイックに野球一筋で、
全てを野球の為にコントロールしてきた大谷と賭博とは、
最も遠い所にある。
そんな時間があれば、
彼はトレーニングや睡眠に当てる人間だから、
そんなものに関わっている筈がない。
ただ、それを証明できるか、は心配だった。
多くの人が、
知らないはずが無い、
知らないまま多額の送金ができたのがおかしい、と主張し、
何なら共犯なのでは、とまで言った人もいた。
確かにそういう発言が出るのも無理からぬ状況ではあった。
当初、水原容疑者が何とかしようと、
大谷が肩代わりした、と嘘をついた事も、
疑惑を深めてしまった。
だが流石、連邦検察。
長くかかると思われた捜査を、
たった3週間で全てを明らかにして終わらせた。
そして、大谷は不正に全く関与しておらず、
完全な被害者だった、と明言した事で、
大谷を巡る疑惑も終結した。
とはいえ、その捜査の為に、
過去数年に遡って、メールや電話のやり取りを精査した、ということは、
全て聞かれており見られている、という事で、
そう考えるとちょっと恐ろしい。
いやまあ、悪いことをしなければ別にどうって事は無いし、
今回などそれが無ければ、
大谷の無実を証明するのは難しかっただろうから、
善良な市民を守る為にも必要なのだろう、というのは分かるのだが、
なんか監視社会は独裁国家だけじゃないのね、と、
改めて突きつけられた気分だ。
ともあれ、これで大谷は野球に専念できる。
ひとまず良かった。
一方、水原容疑者は、
これからした事の責任を取らねばならない。
だがアメリカは司法取引がある。
捜査当局は恐らくボーヤー氏の後ろにいる、
大物や巨大組織に狙いを定めていたはずで、
水原容疑者やボーヤー氏は、
その過程で浮上したに過ぎないだろうから、
水原容疑者がその背後組織を追及できる何らかの情報を持っていれば、
有利に取引できるかもしれない。
そもそも彼が狙われたのは、
大谷の金や大谷自身を取り込みたかったからだろう。
完全にロックオンされて、
一本釣りされたとしか思えない。
ならば、そんな犯罪組織、
叩き潰す事ができるなら、
是非とも力を尽くして貰いたい。
それが彼自身の為にもなる。
これだけ泥沼の違法賭博に嵌っても、
野球に賭ける事だけは、
踏み留まった水原容疑者。
罪をきちんと償って、
再生してくれる事を祈る。