戸籍の性別変更には生殖機能をなくす手術が必要という性同一性障害特例法について、  

最高裁が違憲と判断した。


確かに、手術はリスクを伴うし、

高額な費用もかかる。

健康な体を傷つけることが必要条件、という規定が違憲、というのは、

LGBTがある程度認知されるようになった現在は理解できる。


ただ、反対する人の多くは、

悪用する人間が増えて、

女性への性被害が広がることを危惧しているのだと思う。


だが、今年7月に北海道のススキノで起きた、

頭部切断殺人事件を思い出して欲しい。


この被害者は、女装して女性を装い、

恋愛対象が女性の人や、

女性だと思って安心した人を、

レイプしていたらしい。 


確かに女装が上手くて女性を装えば、

別に戸籍上どうであっても、

関係なく女性を襲うことは可能だ。

真面目に性別変換をしようかと悩んでいる人とは別の次元で、

女装を利用する人はいる訳だ。


ススキノの被害者の様に、

言わば獲物を見つける為に女装をする人間は、

普通に男として結婚して子供もいるのだから、

性別変換なんてするはずもない。


つまりは生殖機能を無くす手術なんて関係なく、

装う事は、現行法下でも、

簡単にできてしまうのだ。


だとすれば、手術をしようがしまいが、

性被害とは関係ないのではないか。

ススキノの事件で、

そういう手があったか!と思った不届き者もいるかもしれないが、

その人達は、性別変換ををして、

戸籍を変える、なんて絶対にしないよ。



だから性別変換をしようとする人が、

女性への性被害を増やす、とは考え難い。

だって戸籍まで変えようか、と悩む元男性は、

恋愛対象が女性では無いのだ。

そして元女性は、

そもそも女性を襲うことが不可能だ。 


既にリスクを負って大金を払って、

適合手術を受けた人は、

何で今更、と思うかもしれないけれど、

世界の趨勢を見ても、

この最高裁の判断は妥当なのではないか、という気がする。 


当事者でありながら反対する人の理由はもう1つ。


生殖機能を維持したまま、

性別変換した人が増える事で、

差別や偏見が、

今以上に広がるのではないか、と、

不安感を抱いているのでは。


それは手術のある無しではなく、

そういう差別意識や偏見を持つ、

私達みんなの問題だろう。



幾らか変わってきたとはいえ、

日本はまだまだ、

「皆と同じ」に価値を置く民族性だ。

だが本来、みんな同じ、なんてあり得ない。

あり得ない事を追求するから、

息苦しいのではないだろうか。

多くのイジメの問題の根底にもあるような気がするし、

昨今、言われる様になった発達障害も、

それも個性、と捉えられる世の中で、

その上で対処方法を見つけよう、と、

社会全体が考える風潮になれば、

解決策はあるように思う。



LGBTの問題も障害の問題も、

まず個人を尊重し個性を認める、という、

最も基本的な人権意識を、

皆が持つようになれれば解決するのでは無いだろうか。