2021年、名古屋の入管施設で、
適切な医療を受けられずに亡くなった、
スリランカ人のウィシュマさんの遺族の弁護団が、
収容中に体調を悪化させていく様子を写した映像を公開した。

これに対して、
齋藤法務大臣は、
「映像は原告側が勝手に編集し、マスコミに公開したものだ」と述べた。


この事件では、
体調不良を訴えていたウィシュマさんに、
「必要な医療を提供しなかった」として、
遺族が国に賠償を求める訴えを起こしており、
国側は「対応は違法ではない」として訴えを退けるよう求めている。

今回、遺族の弁護団は国側が証拠として提出した、
収容中のウィシュマさんの様子を写したおよそ5時間分の映像のうち、
5分間ほどを報道機関に公開した。

これについて、齋藤法務大臣は、
閣議のあとの記者会見で
「これから裁判所で取り調べることになっている、
およそ5時間分のビデオ映像の一部を、
原告側が勝手に編集してマスコミに提供して公開したものだ」と述べた。

その上で、
「訴訟継続中の個別案件で、
法務大臣として所感を述べることは司法への影響に鑑み基本的には差し控えたいが、
本件については皆さんにもよく考えてもらえたらと思う」と述べたそうだ。


いやいや、よく考えるべきはお前の方だろう、と言いたい。 


5時間もの映像をそのまま見せたって、
ちゃんと見え貰える訳がない。
体調が悪化していく過程を、 
編集して5分に纏めて公開するのは、
極めて当たり前の話だと思うが。

「しかも勝手に編集した」って何?
弁護団が恣意的に編集した、とでも言いたいのか? 

現実にウィシュマさんが体調不良を訴えたにも拘わらず、
医療を受けられずに亡くなった事実は、
厳然としてある。
どう編集しようが、 
その事実は変わらない。
法務大臣や入管が、
どんな言い訳をしても、 
適切な対応をしなかった事も隠しようが無い。
それとも捏造された、とでも言いたいのか?


およそ5時間分の映像は、
遺族側の求めでことし6月に法廷で流される予定らしい。 
今回先行して一部を公開したのは、
外国人の収容のあり方を見直す出入国管理法などの改正案が、
現在国会に提出されているからだ。

「収容制度のあり方を適切に議論するためには、
収容の実態を知ってもらう必要があると考えた」
という遺族と弁護団の判断は、 
当然だと思うが。

こんな酷いことが行われていたんだよ、という実例を提示せずに、
どう改正するというのだ?
無かった事にされて、
改正が成立してからでは遅い。
2度と同じことが起きないように、
今、事実を知って欲しい、と思うのは当たり前だ。

法務省と入管側は、
できれば公にはしたくなかっただろうけどね。


お金さえ出せば何でもあり、の、
フィリピンも酷いと思ったけど、
どうしてなかなか、
日本も法治国家とは思えない。
例え不法滞在をした外国人であったとしても、
平等に人権はあるんだよ。

その法律を司るトップの法務大臣が、
この程度なのか、と思うと、 
心底ガッカリする。

するべきこと(医者に見せる)をしない無作為は、
積極的に害を為す作為と、
何ら変わらない不法行為だと、 法務大臣以下、
携わる公務員は自覚して欲しい。
その為に家族も友人もいた、 
一人の人間が未来を絶たれた、という事実の前には、
もっと襟を正すべきではないのか?


この法務大臣の発言からは、
反省も責任感も、
全く感じられない。
事件が起きた時のトップは自分ではない、と思っているのかもしれないが、
今現在、責任を負っているのは誰だ?と問いたい。
他人事では無いのだ。