1月に亡くなった高橋幸宏氏の後を追うように、

坂本龍一氏が逝去された。


「世界の」という冠がつく人はそう多くない。 

だが坂本氏は、間違いなく日本の外でも、

評価され、尊敬される存在だった。



ステージⅣを公表されていたので、

闘病されていることは知っていたが、

どこかで、まだまだ大丈夫、と思い込んでいた。

才能豊かな人程、

神や仏に愛されるのか、

早世される方が多い様な気がする。


YMOが現れた時、

今迄とは全く異質の、

電気的旋律に驚いた。 

子供の頃、割と真剣にクラシックピアノをやっていたので、

金属的な音は余り好きにはなれなかったのだが、 

一世を風靡したシンセサイザー音楽は、

否応なく耳に届く。 


坂本氏が東京芸大の作曲科を卒業し、

大学院も修了されていたと知り、

その後、戦場のメリークリスマスの、

それまでとは真逆の、

柔らかなピアノ演奏を聞いて、

クラシックの基本を押さえているからこそ、

幅も広がるのか、と思い至った。


世界中から追悼コメントが出ているが、

中でも北野武氏や、細野晴臣氏の言葉からは、

本当に深い悲しみが伝わってくる。



惜しい、惜しすぎる人が亡くなった。

だが、彼が好きだった、という言葉を借りれば、

「芸術は長く、人生は短し」

そう、彼の音楽は、

間違いなく長く受け継がれて行く芸術だ。  

そして最後に手掛けていた仕事が、

新規開校する、

徳島の私立高専の校歌だった、というのも、

なんか、彼らしい気がする。


死を意識し、いつまで続けられるか分からない、と自覚しながらも、

未来に向かう若者達の為の曲を作る。

やはり凄い人は、最期まで凄いんだ、と。



坂本龍一さん、苦痛と闘う日々は終わりました。 

どうか今、安らかでありますように。