続報が聞こえて来ないまま、事件から間もなく9年。

迷宮入りか、と思っていたら、

ここへ来て急転直下の犯人逮捕、と思いきや、

実は発生から2年の時点で、

近くで採取された煙草の吸殻のDNAから、

既に田中容疑者が浮かんでいたらしい。


ただこの事件、目撃者も無ければ凶器も見つからない。

どうもサイレンサー(消音器)をつけた、

小型の25口径の銃だったようで、

銃声を聞いた人すらいない。

物証にも乏しく、

近くで採取された煙草の吸殻だけで立件し、

公判を維持できるか?で、

ここまで時間がかかったのだろう。


逆に言えば、逮捕に踏み切った、という事は、

少なくとも状況証拠の積み重ね等で、

目処がついた、とも言える。



ただ、この田中容疑者が属する、

福岡の工藤会と、

王将フードサービスや殺害された大東社長とは、

直接の繋がりは無いようだ。


ということは、田中容疑者はただの実行犯に過ぎす、

指示を出した、もしくは依頼した人物がいるはずだ。

だが田中容疑者は今までの事件でも、

背後関係については沈黙を通してきたそうで、

実際今回も黙秘を続けているらしい。

そんな男がペラペラ裏事情を喋るはずもないので、

周辺捜査で殺害させた真犯人を炙り出せるか、が鍵になる。



1993年に亡くなった創業者が、

同郷の福岡のゴルフ場経営者とかなり親密で、

その結果創業家との不適切な商取引が数百億規模であり、

かなりの額が回収できずに、

当時の餃子の王将は倒産の危機にあったらしい。

それを立て直したのが殺害された大東社長で、

その過程でそういう関係を断ち切ろうと苦慮していたらしい。


甘い汁を吸えなくなって、

あの男さえ排除すれば、

また乱脈経理の責任を取って辞任した、

創業者の息子達が返り咲き、

また元のような関係に戻れるとでも思ったのだろうか?

恩恵を受けていたのは1人ではないだろうから、

そういう連中の誰かが依頼した事も考えられる。


果たして捜査はそこまで届くか。



今回、検察は移送途中の奪還や、

口封じの殺害を警戒して身柄を送検させず、

検察の方から警察に出向いて送検手続きを行う、という、

あまり聞いたことの無い異例の対応を取った。


そこまで慎重にせざるを得ない、という根拠が、

何かあるのだろう。



真相究明にはまだまだ時間がかかるだろうし、

裁判で全てが明らかになるかは不透明だが、

検察には是非頑張って頂きたい、と思う。




それにしても、もしこの犯人が、

煙草のポイ捨てをしていなければ、

未だに特定には至らなかったかもしれない。

そういう事をしてはいけない、という、

道徳心の欠片も無いから、

ヒットマンなんてやってられるんだろうけど、

無頓着な男でまだよかった。

もっともこれで、

今後は犯罪者もポイ捨てをしなくなるかもね。