高槻市で養子縁組をした54才の養母を、

浴槽に沈めて溺死させたとして、

殺人の疑いで逮捕されていた27才の男が、

勾留されていた警察署の留置所で首を吊って自殺した。


元々保険外交員だった被疑者が加入させた、

1億5000万の保険は、

死因に不審な点がある、として、

請求しても支払われなかったようだが、

被害者の1億の遺産は、

既にうけとっていたらしい。


死亡したのが去年の7月なので、

相続の申告期限が10ヶ月以内であることを考えれば、

5月には申告と納税が終わっていなければならないから、

相続が済んでいる事自体は当然と言えば当然なのだが、

普通、相続人が被相続人の死に関与していれば、

相続権を失うはず。


警察が捜査を継続している中で、

何故相続できたのか合点がいかない。



もう1つ納得いかないのが、

自殺を仄めかすような言動をしていた被疑者を、

みすみす死なせてしまった事だ。

巡回の回数を増やしはしたらしいが、

24時間の監視等はしていなかった。

自分のTシャツの裾を裂いて紐状にし、

それで首を吊ったというのだから、

作るのに多少の時間はかかるはずで、

ちゃんと監視していれば、

その時点でおかしな動きに気づいて、

未然に防げたろうに。

警察の対応がマズかった、としか言いようがない。



それにしてもこの被疑者、高井凛は、

何がしたかったのだろう。

本気でバレずに、

1億の遺産と1億5000万の保険金が、

手に入ると思っていたのだろうか?

もしそうなら愚か過ぎる。

シビアな保険会社や警察が見逃す訳が無い。


結果捕まって勾留されたが、

一方で黙秘を続け、

自殺直前には、「無罪請負人」と言われる、

敏腕弁護士を雇っていた、というのだから、

益々行動がちぐはぐだ。


飛び降り等の発作的自殺と違い、

留置所の中で紐を作っての首吊りだから、

明確な意志を持って決行したはず。

まさか自殺する為に殺人を犯した訳でもあるまいに。



そして彼にとって、

命は何て軽いのだろう、と愕然とする。

殺した養母の命も、

自分自身の命も、

何でそんなに軽く扱えてしまうのだろう。


何よりも生命を大切にする。

自分の命も他人の命も同じく大切にする。

そういう根本的な教育が、

欠けているのではないか。


平和ボケと言われる平和な日本では、

死が身近な存在ではない。

核家族化が進んで、

高齢の祖父母の死を直に見ることも減った。

葬式で遺体と対面しても、

臨終に至る過程を見ていなければ、

最早それは「儀式」でしかない。


今死に直面しているウクライナの人達にとって、

簡単に殺されてしまうからこそ、

余計命の重みを実感できる部分もあるのではないか。


だからといって戦争をする訳にはいかないからこそ、

「命」についてキチンと考える教育が、

もっと必要なのではないだろうか。