ようやく発効に必要な50ヵ国が批准し、
来年1月22日に発効する運びになった。

国連加盟国の6割を超える、
122の国と地域の賛成多数で採択されたのが2017年7月。
それから批准する国が、
発効条件の50ヵ国に達するのに、
3年余りもかかってしまった。

現在の核保有国も、
日本や韓国のように核の傘の下に守られている国も参加していない。
だから実効性が無い、というのは恐らく正しいし、
アメリカの核の傘の下にいるのに、
核兵器禁止条約に賛成するのは矛盾する、という考えで、
アメリカの顔色を見て、
賛成できない日本政府の立場は分からないでもない。

それでも、日本は唯一の戦争被爆国で、
広島と長崎で、21万人を超える人が亡くなり、
その何倍もの後遺症で苦しむ人が存在しているのだ。
原爆投下から75年を過ぎて、
存命の被爆者は年々減っているだろう。
その人達の声が聞けるうちに、
日本の立場を明確にすべきではないのだろうか。

確かに極東地域では中国だけではなく、
北朝鮮までが核武装してしまい、
自国では核は持てない日本が、
アメリカと袂を分かって丸腰になるのは、
とても危なすぎてできない、というのは理解できる。

けれど、核兵器の非道さ、残虐性を、
世界に発信できるのは、
世界中で唯一、日本だけだ。
多くの犠牲者の為にも、
生き残った、今生きている我々は、
それをする義務と責任があると思う。


先程、実効性が無い、と書いた。
それは実際、無いと思う。
それでも、批准する50ヵ国が100ヵ国になり、150ヵ国になれば、
それなりの圧力にはなるのではないだろうか。

核保有国が保有数を減らしていく方向に進めるには、
正攻法だけでは無理だろうが、
国際世論の圧力も少しは効果があるだろうし、
日本が今の立場で禁止条約に賛成できない、と言うなら、
せめて米中露に対して、
減らす方向で話し合うテーブルに着くように、
働きかける位の事はして欲しい。

日本政府の態度は、
面倒な事から逃げているようにしか見えない。
怠慢で卑怯だ。
核を持たない小国だって、
勇気をもって批准しているのに。


最終的な目標は、核兵器の無い世界で、
道は遥かに遠くても、
そこは日本も禁止条約を批准した国々も同じはず。
ならば傍観者を決め込むのではなく、
何かしら行動を起こして欲しい。
このままでは、犠牲になった人達に顔向けができない。