来年度から使われる小学校の教科書は、大幅ページ増らしい。
ゆとり教育で削除した項目を復活させた結果だそうで、
それ自体は結構な事だ。
どう考えても円周率が3、はマズいだろう。

が、しかしである。

1人1人の子供にとって、その学年の教育を受ける機会は1度しかない。
そこで飛ばされてしまったものを、再び学ぶ機会は二度とない、かもしれないのだ。

教育改革は、やってみなければ分からない、これ程学力低下の弊害が出るとは思わなかったのだ、と役人は言うかもしれない。

だが本当にそうなのか?


今高3の息子が将にその「ゆとり」世代の筆頭なのだが、
彼が小学校6年になった時に、担任が言っていた。

この改革には、現場の教員はみんな反対しています。
恐らく数年でこのカリキュラムは元に戻るでしょう。
その時にこの子達が困らないように、削除された項目も全部教えますので安心して下さい。
その為に、前の教科書を全部残して教材の用意もしてあります、と。


結局、役人は現場の声に耳を傾けず、手前勝手な思い込みだか利権絡みだかは知らないが、
行き過ぎた改革に手をつけ、
日本の教育をガタガタにしてしまったのではないか。

被害者は子供達だ。
そしてそれはやがて、国全体を衰退させるだろう。

日本には資源が少ない。
食糧自給率の低さは、殆ど危機的状況だ。
そんな中で、1億以上の国民の生活を考えた時、諸外国の中で生き残るには、人的資源を育てるしかない。

その事を、文科省の役人どもはどう考えていたのだろう。

日本の凋落のA級戦犯は彼らだと言い切ってもいいのではないか。

教育は長期的展望が必要な投資なのだ。
場当たり的に目先だけ変えたところで、根本的な解決にはならないし、
ゆとりがないからイジメが起きる、なんていう短絡的発想で
事態が改善するとも思えない。


今度こそ、この国を支え得る人材を養成できる教育改革を、切に望みたい。