『テト・がぶっ!』
『鏡の調書』で
<スーパー店員・白石繭子>を演じたわたし。
その日、衣裳合わせを終えた足で
小ぢんまりとした離れへ移り、本読みに入りました。
夏木マリさん綱島郷太郎さん西方凌さん樋浦勉さん
そして黒沢あすか5人の初顔合わせでもありました。
監督・ヤング=ポールさんの「さら~っと読んでいきましょう」の
合図で始まったセリフ合わせ。
監督、役者をはじめ『鏡の調書』に関わるスタッフみんなが
ひとつになろうとする瞬間でした。
最後まで読み切ったとき、スタッフ・キャストが一斉に顔を上げ
目で交信。
口元にはそれぞれの手応えと「どうでしょうか?」という
監督への振り、そして微笑みが表れ、監督の一声が待たれました。
「うぉははぁ~!よかったですぅー!うぉっ!」と
からだを揺らしながら、これからカタチにしてゆく『鏡の調書』
への期待を膨らませてらしたように私には見えました。(*⌒∇⌒*)
脚本家さん(東京芸術大学の生徒さん)からは<白石繭子>の
バックグラウンド(原作の背景と脚本家としての役柄の肉付け)
について話聞かせていただきました。
「繭子が物心ついた時には、両親は家業を切り盛りしていた。
代々続いているその仕事を繭子は小さい頃からよく手伝だった。
そのことは繭子にとっては自然の流れ。
20代になり家業に携わる機会も増え、跡取りとしての立場に
おさまる体制ができつつあった。父親との二人三脚。
突然の倒産。傾きはじめた家庭内。追い打ちをかける父親の死。
一家離散。
両親の背中を見て育った繭子は働くことに抵抗はなかった。
自分の食いぶちと、家賃。それだけ払えればいい。
質素な生活をしていた。ただ、なぜアルバイトなのか。
人との関わり合いが不得手だった。幼い頃から熱心に
家業の手伝いをしていた事が、外との関わりに心を向けない、
注視しない姿勢を確立してしまったのではないか。」
『テトになりきり・がぶっ!』
と、説明をしてくださいました。
でも、この脚本家さんのお話は映像には表現されては
いません。
あくまでも私が演じる上での下地作りなんです。
こういった説明をして頂けるのは久しくなかったことでした。
特別な役回りのときは監督から直接、お話していただけます~。