「戦慄ダイアリー 屋根裏の秘密」(2024年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

エマ・ベルトラン、アルバ・ヒル監督によるメキシコのスリラー映画。出演はイレーネ・アスエラ、マウリシオ・オフマン、イザベラ・アローヨ。

 

 

<あらすじ>

 

離婚後、オルガは娘ヴェラと再出発するために新しい家に引っ越した。最初は家の中で起きている異変に気づかなかったが、オルガが屋根裏部屋で連続殺人犯の日記を発見した。気味が悪くなり、粗大ごみとして捨てたが、箱はまた屋根裏部屋に舞い戻った。

 

その日のこと、夫に預けていた娘が指を切り落とした。怖くなった彼女は、友人カルロスの助けを得て、日記の内容を詳しく調べていく。日記主の名前は、マルティン・ムニョス・アラウホ。書かれているのは殺人の記録だ。オルガは、屋根裏部屋でおぞましい手術痕の幻視を見る。

 

オルガは、ヴェラが死にかけた子犬を殺したことを思い出した。ヴェラは詳しく話さないが、彼女の行動が日記の文章と重なるところがあった。カルロスの勧めで日記を分析に出したところ、日記は最近書かれたもので、筆者は女性、筆の持ち方が独特など、指を怪我したヴェラに重なっていく。しかし40代で、小学校の先生だと分析された。

 

オルガは自宅で何者かに襲われて頭に怪我をした。それも日記に書かれていたことだった。オルガとカルロスは、マルティン・ムニョス・アラウホを探したところ、それは小さな男の子だった。彼が被害者になって、32歳になったときに誰かに殺される。日記は未来のことを記しているとしか思えなかった。

 

すべての証拠は、ヴェラが将来殺人鬼になることを示していた。オルガは思い切って彼女に箱の中身を見せる。オルガは、大人になったヴェラが自分に何かを訴えていると確信した。すべてのきっかけは「揺れ」にあるというが、それが何なのかまるでつかめなかった。

 

そしてまた、父親の家で過ごすためにヴェラが元夫の家に行く日が来た。すると地震が起きた。「揺れ」とは地震のことだったのだ。オルガは娘を手元に置かなかったことを後悔した。オルガとカルロスは、急ぎ元夫の家に駆けつける。

 

だが時すでに遅く、ヴェラは最初の殺人を犯していた。彼女は父親を突き落として殺していた。警察が来て、娘と引き離されそうになったオルガは、わずかな隙を突いて娘を連れ出し、事故を起こして心中を図った。

 

しかし死にきれず、目が覚めると傍にはヴェラがおり「私を殺そうとした?」と尋ねるのだった。

 

<雑感>

 

アマゾンオリジナル作品。原題は「El Diario」。なかなかスリリングな作品だった。

 

日記を書いたのは、未来のヴェラ。彼女は両親を殺したことがきっかけで精神を病み(その前から異常性はあった)、小学校の教師になるが、苦しんでいる人間を殺して安らかにすることに抵抗がなかった。しかし自分の異常性に気づいており、助けを求めている。

 

彼女を助けられるのは母親しかいなかった。そこで異常な自分を彼女にさらけ出して救ってもらおうとするが、タイムリミットが来て最初の殺人を起こしてしまう。2度目の殺人はオルガ。それを知っている彼女は、娘にこれ以上罪を犯させまいと心中を図るが失敗して、結局は日記通りになってしまう。

 

ヴェラが殺人鬼になった最大の原因を、犬を殺したところに求めるか、両親を殺したところに求めるかが謎になっているが、大人になったヴェラは、地震の日に父親を殺さねば自分は殺人鬼にならなかったと思っている。

 

しかし、本当は苦しんでいる犬を救うために棒を突き刺して殺したところから彼女は異常だったのだ。そこがこの作品の怖いところだ。

 

☆4.1。いい脚本だったね。すべてが良かった。