丈監督による日本のドラマ映画。出演は倉野尾成美、三浦浩一、不破万作。
<あらすじ>
11 歳の女の子・楓は、ある日突然授業中に倒れてしまい、「急性骨髄性白血病」と診断される。幼い楓にとって、抗がん剤治療や放射線治療は過酷でしかなかったが、隣のベッドで同じ病気と闘っている与志だけが唯一の心の支えだった。
同じ頃IT企業を経営する柳井健吾は最愛の娘を白血病で亡くしてしまう。経営者の健吾は仕事を優先せざるを得なかったが、娘を失ったことで、幸せだと思っていた家庭は崩壊へと向かってしまう。
全てを失ってしまった健吾にとって、今や一通の手紙でのみ交流があった、見知らぬ女の子の骨髄ドナーになれたことだけが人生で唯一の誇れることだった。
かけがえのない人を失いながら、それでも懸命に生きていこうとする一人の男と大人になった一人の少女。異なる人生を歩みながら探し求めた、それぞれの「いちばん逢いたいひと」とは、それは自分を生かしてくれたドナーだった。
柳井健吾を尋ねて旅をした楓は、山の上で遺骨を抱えて自殺しようとしていた中年男性を見つける。必死になって男性の自殺を止めた彼女は、教えられた柳井の家の前で待つ。するとそこにやってきたのは、助けた男性だった。
<雑感>
こちらは「生きろ」系の作品。娘を失い、家族を失い、仕事を失い、世に絶望した中年男性だって生きていれば楽しいことの一つくらいはありそうなものだが、そこは自分に決めさせてやれよとは思う。絶望の淵から生還した若い女性にはわからないことがあるでしょ。
「生きるか、それとも死ぬか」その選択は本人が決めるものであって、世の正義マンがしょうもない常識で他人に押し付けるものではない。人は人に対し、死を押し付けることも、生を押し付けることもできないのだ。「生きろ」という励ましは、「死ね」と罵るのと何が違うのだと。
☆3.0。なぜ人はいつか死ぬことを受け入れられないのか。