「NOGUCHI 酒造りの神様」(2023年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

山中有監督による日本のドキュメンタリー映画。

 

 

<あらすじ>

 

「杜氏・農口尚彦」。誰も味わったことのない最高の日本酒を造りたい―。そんな祈りにも似た思いとともに70年余り、人生のすべてを捧げ、ただひたすらに酒造りに打ち込んできた。完璧な酒を追い求める男の終わりなき探求の旅。そして、その技を継承すべく加わった若き弟子たち。カメラは一年間に渡り、酒蔵に密着。小松の厳しくも美しい四季を背景に酒造りの神様とその弟子たちによる格闘のすべてを記録。これまで誰にも見せなかったその仕事の神髄をつぶさに見つめる。

 

<雑感>

 

酒は飲まないのだが、こうしたモノ作りのドキュメンタリーを見るのが好きで、酒造りのドキュメンタリーはこれまで何本も見てきている。その中でもかなり出来の善い作品。

 

戦後、米が不足して食糧難になったとき、人工的に作ったアルコールを混ぜた粗悪品の日本酒が多く出回った。というより、それしか飲むことができなかったのだが、このときの悪いイメージで日本酒を語る人が多い。

 

体質的なもので、醸造酒、蒸留酒、身体に合う合わないはあるそうだが、「日本酒を飲むと悪酔いする」といって言説は、戦後に粗悪な品質の酒を飲んだ人間から聞かされて、脳に刷り込まれているだけの人が多い。蒸留酒をガブガブ飲んで平気なのに。醸造酒はコップ一杯で悪酔いしますなんてのは、体質の問題ではなく、脳に記憶された情報が間違っていて悪酔いしているのだ。

 

米不足の解消とともに日本酒の品質はかつてないほど上がっていき、米余りの状況になった現代社会は、日本の歴史上類を見ないほど美味しいお酒が造られるようになった。

 

こんな時代に生まれながら、戦中戦後の人の話を鵜呑みにして「日本酒は不味い」などと言いふらしている奴は、味がわからないだけなのだ。味の良し悪しは脳が判断する。正しい情報をインプットしておくことが大事だ。米余りの時代の酒で悪酔いなどしない。

 

☆5.0。ちなみに我が家は飲まないが、かなり良い酒を料理酒として使っている。日本酒はワインと違って色がつかないから料理に使いやすい。そして香りがいい。