「サイエン 最後の戦い」(2024年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

アレクサンダー・ウィット監督によるチリのアクション映画。出演はラジェン・モンテネグロ、アーロン・ディアス、エバ・デ・ドミニシ。

 

 

<あらすじ>

 

土壌汚染の黒幕がマイケル・フィスクという人物だと知った先住民のサイオンだったが、何者かに拉致されてしまう。彼女はアクテオン社襲撃犯として指名手配されていた。彼女を誘拐したのは反体制活動家たちで、サイエンを仲間に引き込むことが目的だった。

 

フィスクはさっそく彼らのアジトを襲撃する。かろうじて脱出した彼らは、採掘場の支配人が責任を取らされる状態であると考え、彼との接触を試みる。ところが彼はフィスクの秘密を探ろうとしたとたんに殺害される。何とか逃げたサイエンは、次は清掃員に化けて敵のオフィスに潜入した。

 

だがここで反体制活動家のリリスが敵側の内通者だったと判明する。彼女の裏切りによってホセが死んでしまう。フィスクの妻で反体制派の支援者だったソフィアは、サイエンとともに脱出した。活動の精神的支柱であったホセを失うと同時に切り札だったソフィアを得た彼らは、活動の続行を誓い合う。そして裏切ったリリスはすぐさまフィスクに殺された。

 

サイエンらは、今度は敵のパーティーに潜入してフィスクと接触。ソフィアの活躍によりフィスクの腕に埋め込まれたチップの回収に成功する。コレをネットで公開したことで、フィスクの悪事は暴かれ、彼は逮捕された。汚職議員は取り調べを受け、ずべ手の水はチリ人のものだとする法案は可決された。

 

指名手配されていたサイエンはいったん捕まるものの、政府はこの逮捕が謝りであったと認めて謝罪。サイエンは翌朝釈放される。彼女を迎えに来たのは、懐かしい故郷の父であった。

 

<雑感>

 

チリのアマゾンオリジナル3部作の完結編が配信開始された。このシリーズはなかなか良くできていて、チリの映像レベルの高さを知ることができると同時に、世界で問題になっている水資源の問題の現状を知ることができる。

 

サイエンというのは、チリで白人に差別されてきた原住民。白人は金でしか動かないので、水資源を外国企業に売り渡そうとしている。もちろんそのままの意味ではただ反対されるだけなので、水資源の開発名目で外国企業を受け入れるのだ。日本も宮城県かどこかが水道インフラをフランスの企業に売り渡している。

 

政治の話はさておき、アクション映画の体裁で重要なことを訴えようとしている作品なのだと理解してほしい。

 

☆4.0。ストレートなテーマをストレートに描いた秀作であった。