「恐怖と戦慄の美女」(1975年作品)感想 | 深層昭和帯

深層昭和帯

映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ダン・カーティス監督によるアメリカのホラー映画。出演はカレン・ブラック、ロバート・バートン、ジョン・カーレン。

 

 

「ジュリー」

 

大学生のチャド・ロジャースが当然英語教師のジュリー・エルドリッジに欲望を感じるようになった。チャドはジュリーをデートに誘い、いったんは断られるものの何もしないとの約束で認めてもらう。映画を見た後、飲み物に薬物を入れ昏睡させると、モーテルに連れ込んで写真を撮ってレイプした。

 

その写真をジュリー本人に見せ、チャドは彼女を支配しようとする。だが、支配されているのはチャドの方であった。ジュリーは過去に何度も男を誘って(淫夢を見せ)は殺してきた女だったのだ。チャドは薬を盛られて死に、暗室とともに燃やされた。

 

そして彼女は次のターゲットを定める。

 

「ミリセントとテレーズ」

 

ミリセントは、美しいブロンドの髪を持つ双子の姉テレーズを激しく憎んでいた。ミリセントは父の葬儀の日に弁護士を呼び、テレーズが子供のころに父親を誘惑して肉体関係を持ったこと、それが原因で母親が自殺したことを訴えた。

 

ミリセントは医者のラムジー博士に度々相談していたが、姉を呪い殺すことを思いつき、博士にもうあなたは必要なくなったと伝えた。そしてミリセントはテレーズを亡きものとするが、実はミリセントとテレーズは同一人物だった。

 

テレーズを父親を誘惑して寝取ったのち、母親が自殺したことで精神に異常をきたし、抑圧された性格であるミリセントを生み出した。そして、奔放な性格である自分自身を殺し、自分もまたこの世を去った。死因は自殺であった。

 

「アメリア」

 

高層マンションに住むアメリアが、先住民の人形を買って部屋に戻ってきた。それはズニ族の「人を殺す人形」だった。金鎖を外すと、人間はその人形と一体となるという。彼女は気にも留めず風呂に入るが、その間に金鎖が外れてしまった。

 

アメリアは人形の襲撃を受ける。必死に逃げ惑い、最後はオーブンに閉じ込めて殺したが、人形に憑りついた怨念はアメリアに乗り移った。

 

アメリアは母親に電話をかけて呼び出すと、ナイフを構えて臨戦態勢で母親が来るのを待った。

 

<雑感>

 

古いテレビ映画のようだ。ひとりの女優が、3人(ミリセントを含めると4人)の女性を演じている。どれも古い短編ホラー作品で、いまではなかなかお目にかかれない脚本である。

 

第1話は、若い学生を次々に食い物にする連続殺人鬼の教師の話。彼女は相手の学生を誘惑しては殺し、新聞記事をスクラップしている。学校ではオールドミス扱いで、生徒のために自分の人生を棒に振っていると評価されているが、実は一番人生を謳歌しているという。

 

2番目は懐かしの二重人格もの。これはいっとき非常に多く作られた。大きなショックがトラウマとなって多重人格を生み出すことは実はよくあって、有名人に自分を重ね合わせて自分がその人物になったような気になる現象の、複雑化したものらしい。

 

いまではそれほど多くは使われないが、一時はミステリーのトリックで重宝された。70年代にはかなり多くの作品で使われたアイデアだ。

 

3番目の作品は、先住民を扱ったものでとても差別的であり、いまでは不可能な脚本だ。そもそも、学問的に正しいところがひとつもない。

 

☆3.8。映画の評価としては、懐かしいプロットへのオマージュ込みでこれくらいかな。