「ロジェの復讐」(1946年作品)感想 | 深層昭和帯

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アンドレ・カイヤット監督によるフランスの犯罪映画。出演はリュシアン・コエデル、マリア・カザレス、ポール・ベルナール。

 

 

<あらすじ>

 

ロジェ・ラロックは無実の罪で収監されたが、その後復活を遂げて経済的に大成功を収めた。しかし自分を貶めた人間への復讐心は消えることはなく、ウィリアム・ファネルという名前でフランスに戻った。

 

それは12年間、自分の父親を殺人犯だと思い詰めていた娘スージーへの罪滅ぼしでもあった。妻は失意のうちに死んでしまった。父娘はいまこそ復讐の時と、探偵を雇ってロジェの事件の再捜査を開始する。すると、数々の発明で将来有望であった彼を貶めようとする人間が徐々に見えてきた。

 

かつてロジェには愛人ジュリアがいた。その愛人の息子レイモン・ド・ノワールヴィルとロジェの娘は愛し合っていた。ロジェはかつての愛人が真犯人を知っていると睨んで自供するように迫ったが、ノワールヴィル夫人となった彼女は、いまの幸福を壊したくないと証言を拒んだ。

 

自動車事故をきっかけにスージーへの想いを強めたレイモンは、彼女に告白した。ところはスージーは彼を拒んだ。事情があると見抜いたレイモンはラロック家を訪ね、ロジェに話を聞く。ロジェはレイモンを味方につけることに成功した。レイモンは証拠となる文書を発見して、ロジェが自分を母を庇って刑務所に入ったことを知る。

 

ジュリアは、自分がかつてロジェの愛人であったことを貴族の夫に知られたくなかった。ロジェもまた彼女の幸福を願って口を割らなかった。だが、息子レイモンの恋路のためと思い定めた彼女は、ついに警察の前で犯人はド・ルヴェルソンだと告白した。それは、ロジェのフランスの事業を奪った男だった。

 

ロジェはド・ルヴェルソンに自供させ、奪われたフランスの向上を取り戻した。そして、スージーとレイモンは晴れて結婚する。

 

<雑感>

 

自動車産業黎明期のいざこざを描いた作品。ロジェというのは発明家で、自動車関連の特許を多く持ち、フランスで成功を収めつつあった。しかし、庶民上がりの男が成功するのが気に食わない貴族が、彼に殺人の罪を着せて何もかも奪った。

 

ロジェが刑務所に入っている間、妻は失意のうちに死んでしまう。刑期を終えたロジェはカナダに逃れてそこで大成功を収める。そして

 

 

 

 

かつての汚名を晴らすべく、フランスへと舞い戻る。

 

庶民上がりのロジェの豪胆さと優しさ、その娘スージーの一本気な性格が作品の魅力。父娘は母親の敵を討つためにブレずに戦い続ける。スージーがレイモンを拒んだことが事件解決のきっかけになっており、カタルシスをより大きくしている。

 

☆4.0。古い作品は暴力シーンが少なくて安心できる。