「パール・ダイバー あの日を忘れない」(2004年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

シドニー・キング監督によるアメリカのドラマ映画。出演はジョーイ・ホンサ、エイミー・ジーン・ジョンソン、エフゲニー・ラザレフ。

 

 

<あらすじ>

 

母が殺されたあの晩、姉妹の運命は分かれた。幼少期、強盗犯に母を殺害されたハンナと姉マリアン。それから20年の月日が経過し、ハンナは都会へ、マリアンは田舎に留まり、それぞれの日々を送っていたが、母殺害事件の犯人が余命僅かの病気を理由に仮釈放を申請したことで、ハンナの心はざわつく。

 

その頃マリアンの娘レベッカが、父が運転する農業機械に巻き込まれ、重傷を負う事故が発生。奇跡的に命は助かったものの、今後の治療に莫大な費用がかかることを知ったハンナは、姉一家を支えようと書き溜めていた母殺害事件の小説を出版し、資金に当てようとマリアンに提案。

 

姉妹だけが知る事件に隠された真相を世間に公開し、読者とその思いを共有し気持ちの解放をしたいハンナとは裏腹に、マリアンはそれに対し、断固として否定的だった。

 

マリアンは弁護士を立てて保険で何とかしようと考えるが、大怪我を負った娘を弁護士たちに晒したくない夫が大事な場にやってこず、保険でカバーする道は閉ざされてしまった。ハンナは小説の出版を諦めず、原稿を仕上げて出版社に送る。一方のマリアンは、農場を手放してレベッカの治療にあてるしかないと思い悩んだ。

 

ハンナは、母の友人だった幼馴染の父に原稿を読ませた。すると、母が殺された事件のきっかけになったダイヤのネックレスのことを、彼は知っていた。そして木の根元に埋められたネックレスの入った箱を掘り出し、マリアンとハンナに渡した。

 

それを売ってレベッカは手術を受けられることになった。ハンナが事件のことを書いたことは無駄にはならなかった。ハンナは、完成した原稿を湖に捨てた。

 

<雑感>

 

おそらく古いテレビ映画で、最近の作品とは色調がかなり違う。フィルム時代のような映像だった。内容も最近のテレビ映画とは随分と違う。マリアンが、忌まわしい事件の記憶を思い出したくないのは、犯人のひとりが肥溜めに落ち、助けてくれと懇願しているのに、彼女はそのまま見捨てて殺したことが後悔になっているからだ。それを思い出したくない。

 

まだ小さかったハンナは、別方向に逃げていたために、その事実を知らない。だから小説にその場面は出てこないのだが、マリアンは事件のことというと、母が撃たれた瞬間と、肥溜めに落ちていく犯人のことを思い出してしまう。それで頑なに反対したのだ。

 

☆3.5。すごくまとまりのある良い脚本。母の命を奪ったネックレスが、その孫を救ったことで、母親が孫を救ったかのような結末になっている。