「ワールドエンド」(2019年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

イゴール・バラノフ監督によるロシアのSF映画。出演はピョートル・フョードロフ、アレクセイ・チャドフ、スヴェトラーナ・イワノーワ。

 

 

<あらすじ>

 

遠くない未来、文明の終末は突然訪れた。全世界で電力が喪失する《ブラック・アウト》が発生し、通信は途絶。異変は宇宙空間から飛来した放射線によるもので、月の陰になっていたモスクワを含むロシア西部と周辺国だけが、『生存サークル』として被害を免れた。

 

ロシア軍特殊部隊《スペツナズ》のオレグやユーラたちは、事態の調査を開始。だが、『ホットゾーン』の住民は謎の死を遂げており、さらに偵察部隊は正体不明の敵の襲撃を受け、次々と全滅してゆく。

 

そんな時、“イド”と名乗る謎の男が出現。その正体は、20万年前に地球にやって来た異星人だった。異星人たちはやがて消滅する母星から、地球への移住を計画。当時地球を支配していた先住民族を駆除するため、自らと似たDNAを持つ『人類』を生み出し、生物兵器=ウィルスとして地球に送りこんだ、と言うのだ。

 

そして20万年が経ち、地球は人類が支配。計画の仕上げとして、人類を奴隷化して、地球を手に入れる。巨大UFOの《移住船》は、明日にも地球に到着するのだ。“イド”は仲間を裏切り、人類を救おうとしていた。そのためには、奴隷を操っている“ラー”というエイリアンを倒すしかない。

 

残された数少ない兵士たちは、決死の作戦を開始する。敵は、エイリアンに操られた無数の大群衆だ。壮絶な戦闘の果て、高層ビルの屋上で指令を発する“ラー”を発見。最後の戦いが迫る中、不気味な雲を割って、巨大UFOがその姿を現した。

 

“ラー”に操られた人類を防いでいる間に、“イド”が“ラー”を倒す。“イド”は人類にこういった。「人類は宗教で制御するはずだった。ところが人類は宗教を戦争の道具に使った。失敗作となった人類はすべて滅ぼす。そしてここにいる人間が新しい人類の祖となる」

 

これを受け入れられないスペツナズのメンバーは、“イド”に抗おうとするものの、“イド”もまた“ラー”のように人類を操る力があり、いつの間にか争いはメンバー同士の戦いになってしまう。幻覚を見せ、自分に従わせようとする“イド”だったが、決死のタックルでビルの屋上から地面に叩き落されて息絶えた。

 

すると巨大な宇宙船が地上に着陸した。ハッチが開くので、オレグやユーラたちは中に入ってみた。そこにはコールドスリープで眠る異星人たちの姿があった。オレグらは、生命維持装置のパイプを破壊していき、異星人を皆殺しにしていく。

 

ところが、最後のパイプを破壊しようとしたところ、異星人の子供たちの存在に気づき、皆殺しを思いとどまった。

 

<雑感>

 

SF映画としてはよくできている。問題はロシア製ということだ。戦争しているロシア人、宗教について語るロシア人、子供の殺害を躊躇するロシア人。何もかも説得がなくて草。映画人に罪はないとはいえ、やはり国のイメージが悪すぎるとどうにもならんね。

 

あくまで映画としてはよくできている。戦争映画でもない純粋なフィクションだ。それでも「愛の宗教によって人類に争いをやめさせようとした」なんて科白が出た瞬間に鼻で笑われてしまうのは、国家の在り方がどうにもクソだからである。

 

☆3.0。ロシア語のイメージも悪すぎる。