「アビリティ 特殊能力を得た男」(2018年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ジャスティン・フォイア監督によるアメリカのSF映画。出演はティモシー・デイヴィス、タチアナ・アリ、マシュー・セント・パトリック。

 

 

<あらすじ>

 

8年前、とある公園のベンチで、ジョン・ハットンという名の男が発見された。過去の記憶が全くない状態だったが、37ヵ国語を流暢に話せる才能を持っていたことから、言語学の教師となった。

 

彼を発見した探偵カールとは親友になり、彼の妹レイチェルと結婚したジョンは娘にも恵まれ、幸せな暮らしを送っていた。しかし、めまいや鼻血などの異変が頻発していた時、突如現れたルーカスと名乗る男が、「自分も記憶がなく公園で発見されたが、天才的な数学の能力が備わった」と伝えにきた。

 

「何者かの陰謀だ」との言葉が脳裏に焼きついて離れないジョンは、後日ルーカスのもとを訪ねるが、「お前も俺と同じ運命をたどる」と言い放たれ、自殺されてしまう。以来、自分が何者なのか、ジョンはカールの助けを借り、調査を始める。

 

ジョンは、自分と同じ境遇のマイケル・カーンズという数学の天才がいたことを知る。彼も記憶を失った状態で発見され、最後は自殺していた。さらに同じような境遇の人物が多数いる。それは男女を問わず、記憶を失った状態で発見後、様々な才能を発揮した人物たちだった。

 

さらに、身体に紫外線を当てると浮かび上がる刺青を発見。それを辿り、マーカス・リデルを割り出す。それはジョン・ハットン自身で、すでに処刑されていることになっていた。他の人物も死刑囚の中にまったく同じ人物が存在した。彼らは死刑執行後に記憶を失って、遠い場所で発見されている。ジョンを含め、全員かつては凶悪犯であった。

 

特定の刑務所の囚人に限られていたことからカールが署長を怪しみ調べると、全員1年以内に退職してある会社の役員になっていた。そのひとりに突撃すると、何が悪いのかと開き直った。ジョンの脳にはインプラントが埋め込まれており、製造はブラジルだった。

 

製造元に乗り込み、ジョンは真実を聴く。すべては凶悪犯の更生のための新しい実験だったのだ。ジョンはカールに頼みすべてを公表したのち、自殺した。

 

<雑感>

 

殺人を犯した凶悪犯を使って記憶の消去と脳を矯正するインプラント処置を行う社会実験の話。殺人を犯した場合、その人物の人権は剥奪され、代わりに新しい人権が与えられる。それを理想として実験を開始したものの、全員自殺するという非難な結果に。

 

かといってかつて殺人を犯して死刑宣告されていることから強気にも出られず、副作用で脳がおかしくなるとみんな自殺してしまう。そんな問題をテーマにしていた。個人的に、死刑が優先されるべきとは思うが、もし死刑を廃止するならば、終身刑よりこちらの方がいいかな。

 

☆3.5。邦題はバカみたいだが、結局人生はそんなに上手く変転しないとするペシミスティックな結論が好きだった。