西川美和監督による日本のドラマ映画。出演はオダギリジョー、香川照之、伊武雅刀。
＜あらすじ＞
早川猛は母の葬儀で久しぶりに実家に帰り、兄の稔、幼馴染の川端智恵子と再会した。実家のガソリンスタンドを継いだ稔は智恵子に気があるようだったが、智恵子は東京でカメラマンをやっている猛に惹かれ、ふたりは肉体関係になった。
翌日、3人は幼いころよく遊んだ渓流に出掛けた。猛は美しい風景を写真に収めることに夢中になった。近寄ってきた智恵子は、田舎に残ったことを後悔していると話し、肉体関係になったことを稔に知られるのを怖がった。猛は話をほとんど聞いていなかった。
智恵子が、渓流に架かった吊り橋を渡ると言い出した。ひとりで歩き出した彼女を、稔が危ないからと身体を触って制した。これを気持ち悪がった智恵子と口論になり、稔は智恵子を吊り橋から突き落としてしまった。猛はそれを目撃した。しかし彼は兄を庇い、智恵子が勝手に落ちたことにして警察を呼んだ。
猛は兄を庇ったが、兄は自責の念に堪えられず自首した。それでも猛は諦めず、弁護士の伯父とともに稔を無罪にしようと頑張ったが、稔は田舎に残ったことを卑下しており、精神的に追い詰められて留置場で奇行を繰り返すようになった。
裁判が始まると、稔は検察の起訴状を全面否認した。そして、前日に智恵子が誰かと性交渉したことを明らかにすると、面会に来た猛の人格を否定して嘲笑った。猛は兄との関係を諦め、ウソの証言をしていたことを認め、稔が智恵子を突き落とすのを目撃したと証言した。
有罪になり収監された稔が出所する日。猛は人に頼まれて兄を迎えに行った。猛は兄が智恵子を突き落としたと思い込んでいたが、実際は智恵子が落ちていくのを助けようと手を伸ばしただけで、それが遠くからは突き落としたように見えたのだった。
猛は兄に和解を呼びかけるが、稔はバスに乗ってどこかへ消えていった。
＜雑感＞
オダギリジョーと香川照之の演技で魅せる、日本映画らしい日本映画。なんでこうどいつもこいつも是枝裕和に似ているかね。西川美和監督の作品は、好きな役者が出演していると耐えられるが、「蛇イチゴ」の宮迫みたいに嫌いな奴が出演していると途端にきつくなる。「蛇イチゴ」はつみきみほが出ていなかったらきつかった。
よく考えられてある話だし、感情移入させる演出も上手い。しかし人間関係がどの作品も劣悪で救いようがない。そういうところがまさに是枝裕和だ。左翼臭いんだね。良い映画監督が是枝リスペクトでこんな映画ばかり撮るのは本当にもったいない。
☆3.9。香川照之の気持ち悪い演技は、上手いけど生理的にきついそこが上手さなのだが。
