「マトリックス レザレクションズ」(2021年作品)感想 | 深層昭和帯

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映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

ラナ・ウォシャウスキー監督によるアメリカのSF映画。出演はキアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ジェイダ・ピンケット・スミス。

 

 

<あらすじ>

 

ゲームデザイナーのトーマス・アンダーソンは、自殺願望の治療を受けながら次作の制作を行っていた。それは自身が手掛けた「マトリックス」の続編「バイナリー」だった。だがトーマスの様子はどこかおかしかった。過去に何かが起こった気がするのに思い出せないのだ。断片的な記憶だけがフラッシュバックとなって蘇ってきた。

 

そこに謎のメールが届く。真実を求めて扉を開くと、そこには過去の記憶と繋がる光景が広がっている。頭がおかしくなったのかと自棄になる彼が目を覚ますと、そこにはバッグスとモーフィアスがいた。彼らは赤と青の錠剤を差し出した。現実に戻るという赤の錠剤を口にしたトーマスは、ネオの記憶を取り戻した。

 

現実世界に戻ると、世界は戦争が続いていた。原因は電力不足。かつての仲間と行動を開始するも、アナリストの姿を発見したネオは、彼こそ自分を覚醒させた張本人だと知って失望する。しかし強敵故敵わず、いったん退却した。

 

残るはトリニティーだった。彼女は人工子宮の中でマトリックスに繋がれていた。まだトーマスであったとき、トリニティーには夫と子供がいることを知っていたネオは、彼女に真実を話すものの、仮想世界での生活を受け入れた彼女は相手にしない。

 

ダメかと思われた矢先、翻意したトリニティーがネオと接触。スパークが起こり、アナリストを吹き飛ばした。

 

プラグを引き抜いたトリニティーは、迫りくる敵を葬っていき、そして自分が救世主であることを知る。そしてついにアナリストを倒すのだった。

 

<雑感>

 

「マトリックス」シリーズの最新作。らしいのだが、時系列がよくわからないという。内容は簡単なのだが、シリーズが続いているのでどう解釈していいのかわからない。過去作も、アクションシーンの記憶ばかり頭に残っていて、細かい設定を忘れてしまっている。

 

基になっている話の類型は、好きだった女性が別の男性と結婚し、諦めつつも過去に引きずられている男の物語。この類型は、未来を志向したときは男が過去を克服する物語になり、過去を志向したときには未来を手繰り寄せる(女性を再び振り向かせる)構造になっている。

 

「マトリックス レザレクションズ」は、ネオが未来を諦めようとしたところで突然主人公が女性になり、トリニティーがそのまま救世主になることで物語を変転させている。類型を裏切るわけだが、かなり長い時間類型通りに話が進んでいるので、パッとトリニティーに主人公が移るところで驚く。そして彼女が飛行することで、なるほどと納得できる仕掛けになっている。

 

☆4.0。しかし単純故に、過去作のファンには物足らないのではないか? オレは詳しい話を忘れていたので、ネオとトリニティーの恋愛話になってくれて助かった。