「ゴールデンカムイ 第四期」(2022年秋作品)第8話 感想 | 深層昭和帯

深層昭和帯

映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

原作:野田サトル、監督:すがはらしずたか、シリーズ構成:高木登、制作:ブレインズ・ベース。



第四十四話 ヒグマ男

北海道に到着後、宗谷地方にあるアイヌコタンで世話になった杉元たちは、雨竜川で砂金が採れるとの情報を得る。だが付近には人を殺した熊・ウェンカムイも出没しており、何人もの砂金掘り師が犠牲になっているという。

当座の路銀を稼ぐため現地に向かった杉元たちは、そこで遭遇した砂金掘り師の平太の教えを頼りに砂金掘りを開始する。そんな折、ウェンカムイが近くにいると言い出した平太がひとりで姿を消す事態が起こる。探し回る杉元らであったが、平太の話はおかしなことばかりだった。

子供のころにアイヌからウェンカムイの話を聞かされトラウマになった彼は、ウェンカムイの話を曲解して心の中でおかしな像を作り出してしまった。アイヌが殺したウェンカムイの死骸を見た彼の心は崩壊し、その毛皮をまとって家族を惨殺。自分の中に家族の幻影とウェンカムイの幻影を抱えたまま殺人者になった。

網走監獄に入った平太は、刺青人皮であった。杉元に襲い掛かった平太は、鹿狩りの毒矢にやられて死んだ。

<雑感>

相変わらずおかしな人間ばかりが登場して面白い。平太は複数人格者ではなく、妄想性障害で、それが発症する発端はアイヌから人食い熊の話を聞いて怯えたこと。そこにアイヌのしきたりである熊の毛皮を森の中に置いておく風習に遭遇してしまった。

自分がクマに襲われて死ぬという妄執が、熊の毛皮と合わさって彼自身が熊となって人を襲撃する殺人者になってしまった。熊になったときのことは覚えていないので、ウェンカムイが自分を追いかけてきたと思い込み、場所を移動するものの熊の毛皮だけは持ち歩いていたために妄想性障害が治癒することはなかった。

外から見ればこいつ自身が人食い人間であったことから、いつかの時点で捕まり網走に収容される。そこでウイルクに刺青を彫られてしまう。そういう流れのようだ。劇中に平太の兄とその妻が登場しているが、彼が自分で殺した家族の幻影である。

変な人間ばかりで面白すぎる。