「機甲界ガリアン」(1984年作品)第11話~15話 感想 | 深層昭和帯

深層昭和帯

映画、ドラマ、アニメ、特撮など映像作品の感想を中心に書いています。

マーダル軍の攻撃によって危機に陥る白い谷。



マーダル兵は一騎打ちを装って奇襲を仕掛けるなど手段を択ばない戦い方を見せる。だがガリアンの奮闘とドン・スラーゼンらかつてのボーダー王臣下たちが続々と駆け付けてきて白い谷はマーダル軍を何とか退けることに成功した。

白い谷がマーダル軍を撃退したとの報は瞬く間に惑星アースト中に知れ渡り、各地の村から続々とボーダー王嫡子ジョルディ王子の元へ人が参集してきた。

ところが白い谷を起点として反撃に出ようという矢先、ジョルディは鉄の城に囚われているという母のことを聞き及び、どうしても助けたいと独断で白い谷を飛び出してしまった。

鉄の城で対峙したマーダルは、自分と王子とどちらに天が味方するか確かめるようなそぶりを見せた。

こんな感じの展開。

マーダルは予想していた宇宙猿人ゴリ的な科学者ではなく、武力でクレセント銀河諸星を搔き乱していた悪人だった。それがいったんは敗北してイラスタント太陽系第5惑星アーストに不時着し、現地の土人勢力を一掃してその地下に眠る古代文明の遺産を頼りに再びクレセント銀河諸星に戦いを挑もうという。

クレセント銀河もかつては戦いに明け暮れる時代が長く続いていたものの、文明が進歩して戦いが終結し、平和になっていた。その平和がやがて腐敗を生み、マーダルのような人物を生み出すことになったようだ。世界観は「∀ガンダム」とか「ガンダム Gのレコンギスタ」とかそんな感じだ。あの作品群から富野臭さを抜いたような、もっと政治色をしっかりと確立させたような話になっていた。

15話まで観てきて、シリーズ構成が「機動戦士ガンダム」に近いと分かった。おそらくはガンダム的なヒット欲しさにガンダムから構成要素を抜き出して繋げたのだろう。ガリアンの進歩のさせ方とか、ジョルディのわがままとか、やってることが似ている。

ガンダムは別にシリーズ構成が評価されて売れたわけではなく、それらの評価は後付けに過ぎないのだが、1984年にはまだそこらへんが分析されていなかったのだと思う。高橋良輔にガンダムは作れない。彼が作れるのは「太陽の牙ダグラム」であり「装甲騎兵ボトムズ」だ。どちらも素晴らしい作品であり、富野に劣っているところはまったくない。

おもちゃを売りたくてしょうがなかったんだろうなと。どんなに良い作品を作ってもおもちゃの売り上げでしか評価されないのってつらい。そもそも売り方が悪いんじゃないのってところは誰も言わないしね。ガンダムは再放送に合わせてプラモデルのCMを打ちまくって認知度を上げただろうに。タカラはそれをやったのかね?

戦争時の負の遺産を平和からくる怠惰を打破するために発掘して征服を企むマーダルと、彼の野望を阻止する役割を持つはずの高度文明連合評議会の腐敗、本当は進歩の過程で触れてはいけないはずの高度文明と強制的に接触させられた太陽系第5惑星アーストの原住民。これらが織りなすドラマはなかなか見応えがあって面白い。

ただ、高橋良輔にガンダム展開を押し付けても仕方がないよな。ジョルディが母を求めて白い谷を脱出する展開は一切不要だった。白い谷に集結してくるボーダー王臣下らの描写に尺を当てるべきだった。高橋良輔ならきっと面白く描いたと思うがなぁ。