「侍ジャイアンツ」(1974年秋~75年夏作品)第27話 感想 | 深層昭和帯

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第27話は富野コンテ回。しかし、脚本の内容が詰め込んであるので特色は出ていない。



オープン戦で宿命のライバルと見込んだ番場蛮を追って、アスレチックスのウルフ・チーフが来日する話なのだが、いつものお互いが運命によって引き寄せられていく感じがない。

いつもの富野ならば細かい説明抜きにふたりのライバル関係にグッと集中していくが、ウルフはアスレチックスの若きスターという設定なので、そんなバリバリのメジャーリーガーが日本の阪神に入団するいきさつを説明しなければならない。

ウルフはオープン戦で番場蛮と対戦してからずっと不調で、精彩を欠いていたことを説明しなければいけないし、なぜメジャー選手である彼がいち日本人選手との対戦にこだわるのか、彼の人種のことやアスレチックス入団の経緯に遡って説明がいる。さらに、いくら不調とはいえいきなりメジャー選手が日本には来ないので、マイナー落ちを告げる中でマイナーなら日本へ行かせてくれ、1年でいいから番場蛮と対戦させてくれと懇願するシーンから、監督がそれを納得する心情までやらなくてはならないので、富野演出らしさを出す尺がなかったということのようだ。

笑ったのは、ウルフのスクリュー打法。バットをクルクル回して、打球に変な回転をつける打法なのだが、ビームサーベルの前からとりあえず困ったらクルクル回していたんだなと。

誰が考えたのか知らないが、数十年経っても富野は相変わらず棒状のものはクルクル回してる。