「少女革命ウテナ」(1997年作品)第31話~39話・最終回 感想 | 深層昭和帯

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鳳暁生が王子様の成れの果て(世界の果て)だってわかってからの、天上ウテナの心理描写が素晴らしかった。



意味と役割を少しずつずらしていきながら、最後はしっかりとまとめてあって好感が持てる。最終回は謎の盛り上がりだった。姫宮アンシーの「薔薇の花嫁」って設定も、意味不明な状況から最後にしっかりと理解させるところはさすが。

「ディオスの剣」もね。あれ、鳳暁生が振り回して折れちゃって、暁生は半ばそれを知っていたように(過去に何度も繰り返してきたように)諦めるんだけど、天上ウテナはその連鎖を断ち切って薔薇の門を開いてしまう。自分が王子様だった過去に囚われ、そこから先へ進めない兄の犠牲になっていた妹を開放させる天上ウテナと、消えた自分の王子様を探す旅に出る姫宮アンシーって締めがね、なんとも言えず良いんだわ。

オレは締めの弱い作品はアニメに限らず文芸全般において嫌いなので、ギリギリのところで言葉の意味を不確実にしないで昇華させる幾原邦彦作品は好きだな。

姫宮アンシーが最後に「王子様の妹=魔女」から解放される流れに収斂させる展開は予想通りだったが、なかなかそんな感じに事が運ばない流れでもあったので、やきもきしたわ。劇場版の「エヴァンゲリオン」で、閉じ込められた意識に触れて覚醒させる場面ってあったけど、似た場面でもあっちはそれがのちの展開に繋がらないからな。その場の盛り上がりだけ。あんなのは駄作なんだよ、人気なんかいくらあっても駄作は駄作。つまらんものはつまらん。

作家性の強い作品で、本当にオレ好みだった。満足度がかなり高い。「ARIA」もかなり満足度が高かったが、こちらも良かった。レンタルは2作品続けて当たったなぁ。良かった良かった。レンタルしたのにつまらないと腹が立つからな。

言葉から連想するイメージを様々な形で具象化して盛り込んであって、イメージがどの言葉に対応しているのか考察が捗る作品であった。イメージを形にしたデザインも素晴らしかった。円形をずらした天上ウテナと姫宮アンシーが寝てるベッドなんか、欲しくなったくらいだ。

「少女革命ウテナ」は、とにかく間違いなく面白い。

注:感想記事は2016年2月から3月にかけて投稿されたものです。